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 変革プロジェクトで最も悩ましいテーマの1つが、抵抗勢力との対峙の仕方である。新連載ではこのテーマを掘り下げたい。プロジェクトに携わった経験がある人なら分かると思うが、何かを変えようとすると必ず反対派が出てくる。彼ら彼女らへの対応を間違えると抵抗勢力になってしまい、プロジェクトは失敗に終わる。プロジェクト計画にまつわるセミナーを開くと、一番多く質問をいただく話題でもある。

 「現場の抵抗が強くて」「キーパーソンを巻き込めなくて」「メンバーが陰で反対意見を言っているらしく」と、悩みはどの企業でも共通している。まずは抵抗勢力との向き合い方に失敗/成功するとどうなるか。結果を先に見ていこう。

現場の巻き込みに失敗した例と成功した例

 大手建設会社の業務改善プロジェクトでのこと。事務業務を効率化する施策を数カ月間、検討してきた。幾つもの施策パターンを検討し、費用対効果も算出して、いよいよどのパターンを選択するかを決める段階になった。コンサルタントである私とプロジェクトリーダーのAさん、そして変革の対象である事務部門を率いる部門長のBさんの3人で、こんなやり取りをした(図1)。

図1●コンサルタントとリーダー、部門長の会話(失敗例)
図1●コンサルタントとリーダー、部門長の会話(失敗例)
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 あの手この手で議論を尽くしてきたのだが、事務部門長のBさんに猛反対された。プロジェクトリーダーや私はいい施策だと思っていたのだが、事務部門長とは考えが異なっている。実際に変革の対象となる部門の責任者がこの調子では、プロジェクトはうまくいかないだろう。続いて、成功例を見てみたい。

 大手ITベンダーの営業改革プロジェクトでのこと。前述のプロジェクトと同じような業務集約について検討したときだ。営業担当者が事務仕事に忙殺されて、最も大事な営業活動に全然時間を割けていなかった。そこで事務作業を改善して効率化を図ろうとプロジェクトが立ち上がり、施策として業務集約が検討された。

 雑多な事務作業をまとめて、営業活動にかけられる時間を確保しようという狙いだ。検討も煮詰まり、営業担当者に向けた説明会を開いたとき。私が概要を語ると、営業担当者から質問が出た。自分たちの業務が大きく変わるわけだから、営業担当者も必死だ。