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 「隠れた抵抗」に対する対応を取り上げた前回に続き、今回は「表に出た抵抗」への対応方法を考える。隠れた抵抗にちゃんと対応すると、一部はそのまま解消してなくなるが、残りは表に出た抵抗に姿を変える。本人も言語化できなかったモヤモヤした違和感がかえって明らかになるからだ。

 表に出た抵抗は批判がはっきりと見えているだけに、対応を誤ると致命傷になる。早速、対応方法を見ていこう。表に出た抵抗は3 段階で対応するのが基本だ。

その1:指摘・不満を“明らかに”

 明らかにするとは、どういうことか。はっきりと口や態度に出して批判されているのだから、既に「明らかになっている」のではないかと思う人もいるかもしれない。そこで1 つの事例を紹介したい。現場から指摘ラッシュを受けたときだ。

 3 年ほど前に支援したあるプロジェクトで、システム導入を検討していたときのこと。システム導入後の新しい業務プロセスを設計し、現場のキーパーソンに見てもらった。

 業務が良くなるか、それとも詰めが甘い部分や無理がある部分、負荷が高くなってしまう部分はないかをチェックしてもらうのが、その目的だった。そのときの会話はこんな感じだ。

 私が「こんなふうに将来の業務を設計しました。まだ粗い状態なのですが、懸念点などフィードバックをいただけないでしょうか」と説明した。すると私が言い終わらないうちに、キーパーソンが畳み掛けてきた。

 「いやー。○○もダメだし、△△も考慮していないでしょ? ××はどうなっているの? そもそも□□のリスクを見込んでいるのかい? そこまで考えてくれていないと、現場としてはちょっとねえ。そんな状況だと、このプロジェクトは厳しいと言わざるを得ないな」。私は「うっ」とうなるしかなかった。

*   *   *

 いつも通りだが、この事例はほとんど脚色していない。実際に私が遭遇した事象だ。何かを変えようというプロジェクトでは、こういうことが日常的に起こる。こんな状況になると、ついこう返答したくなる。「いやいや、考慮していますよ! リスクについてはですね…」