一緒に仕事をしているあの人、何考えてるか分からないよ――。プロジェクトチームのメンバー間のコミュニケーション不全が原因で、チーム内部に抵抗勢力が現れ、プロジェクトが瓦解。こんな最悪のシナリオも現実には多々起こっている。メンバーが1つにまとまり、強いチームになるためには何が必要なのか。
前回は抵抗に強いチームメンバーの集め方を解説したが、今回はチームを1つにする方法を解説したい。チームのメンバーは、自由に選べないことが多い。よくあるのは、プロジェクトのメンバーも期間も上層部が決めてしまい、その状態でプロジェクトリーダーやメンバーに話が下りてくるケースだ。
こうなると、メンバーを選ぶことなどできない。決められたメンバーをいかに1つにまとめて、強いチームを作っていくかが重要になる。チーム作りに失敗すると、チームのなかに抵抗勢力が現れて、空中分解する可能性が出てくる。そこで幾つかのチーム作りの手法を紹介しよう。
ノーミングセッションを実施
私たちがコンサルティングチームを組むときや、クライアントと1つのチームを作ってプロジェクトを推進するときに、必ず行うのが「ノーミングセッション」である。一般に、新しく組織されたチームは単なるヒトの集まりに過ぎず、お互いに手探りな状態だ。組織として機能するようになるには時間がかかる。
このように、チームが形作られていく過程を示したものに「タックマンモデル」がある(図1)。ヒトが集まっただけの最初の段階を「フォーミングステージ」、お互いの理解が進んで考え方の違いや意見の衝突が表出する段階を「ストーミングステージ」と呼ぶ。
さらに、お互いの価値観が統一されて、役割分担がしっくりしてくる段階を「ノーミングステージ」という。最後の段階は「パフォーミングステージ」で、メンバーがお互いを補完し合って、1+1が3にも4にもなる理想的な状態を指す。ここでのポイントは、少しでも早くフォーミングやストーミングの段階を抜け出すことだ。そのためにノーミングセッションを行う。
ノーミングセッションではまず、「なぜこのプロジェクトを実施するのか」「何を達成するためのプロジェクトなのか」「どうやって進めるのか」「なぜこのメンバーが選ばれているのか」などを共有する。ここまでは実施している人も多いだろう。