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 神奈川県海老名市にある富士ゼロックスの「サービスデリバリーセンター」。ここは、顧客から預かった紙の帳票などを電子化してデータで納品する、イメージング処理の受託拠点である。保険会社の支払いや新規契約の書類などの電子化が主な業務だ。帳票の電子化プロセスを改善するのに大きな役割を果たしているのが、合計62台設置した「トレーサビリティーカメラ」である。

 サービスデリバリーセンターは天井などに取り付けたカメラを、監視目的ではなく、作業者の業務品質のバラつきを抑えながら作業の標準化を進めるのに利用している。映像は90日間に限り保存するルールだ。

 アロバ(東京・新宿)の録画・再生ソフト「アロバビュー」を使い、過去にさかのぼって作業者の動きを映像で確認。「標準化した作業がきちんと守られているか、もっと良い作業手順がないかを検討するのに映像の振り返りを続ける」と、グローバルサービス営業本部サービスデリバリーオペレーションズVICジャパンの今田信作マネジャーは語る。怪しい点があれば、現場に急行する。

「トレーサビリティーカメラ」で紙帳票の電子化ラインを常時撮影。3年間の改善で、ライン長を17mから4mまで縮めた(左)。撮影した映像は専用ソフト「アロバビュー」でいつでも見られる(上)。問題が起きたときの様子も一目で分かる
「トレーサビリティーカメラ」で紙帳票の電子化ラインを常時撮影。3年間の改善で、ライン長を17mから4mまで縮めた(左)。撮影した映像は専用ソフト「アロバビュー」でいつでも見られる(上)。問題が起きたときの様子も一目で分かる
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標準作業が守られているか確認

 サービスデリバリーセンターの受注は好調で、2015年度上期の生産高は2009年度比で10倍に増えた。この伸びに負けない生産性を達成しようと、ライン増設や一層の作業効率化を進める。この3年に限っても生産性は2.5倍に高まった。決め手になったのが、映像による作業の振り返り分析というわけだ。

 何か不具合が起きれば、その場面を後から再生し、作業のどこにミスや課題があったのかを映像を見ながら検討できる。保険会社の顧客に対し、品質ミスは許されない。サービスデリバリーセンターでは、送られてくる書類の1つひとつに紙の「ジョブかんばん」を付与し、その紙を先頭に書類の束を次工程に1つずつ回す。いわゆる、1個流しだ。

 富士ゼロックスが工場で展開する、トヨタ自動車の改善をベースにした「XPW(ゼロックス生産方式)」を応用したものである。ジョブかんばんの文字は大きめに印字してあり、アロバビューからでも確認できる。

 品質を上げると同時に生産性の向上も進めているが、成果はラインの直線化と間ま締じめ(ライン幅の短縮)に表れている。2010年10月に17mもあった電子化ラインが、トレーサビリティーカメラを使った動線の見直しや機器の配置換え、中間在庫の削減などで、現在は4mまで縮んだ。