PR

 需要予測はあらゆる企業にとって永遠のテーマだが、なかでも“流行”に左右されやすいのが医薬品業界である。花粉症やインフルエンザなど、病気には流行があり、その始まりと終わりは毎年違う。そのため、どの薬をどの時期に、どれだけ用意しておけば欠品せずに済むのか、かつ余らせずにも済むのかを正確に推測するのは至難の業だ。

 これまで、街の調剤薬局には必ず1人以上、調剤室の“番人”のようなベテランの薬剤師がおり、勘と経験をフル活用して流行を感知し、欠品と格闘してきた。

 それでも完全とはいかないので、つい多めに注文してしまう。というのも、患者の生死をも左右する薬は欠品が許されない商品だからだ。

 結果、手狭な調剤室は薬であふれ返り、今度は棚に入れたり取り出したりするのに一苦労。患者の待ち時間が延びる原因になっていた。

流行を気にせず、発注を自動化

 薬局には常時1500~2000種類もの薬があるという。それらを切らさず、しかも在庫日数は少なめに保管するにはどうすればよいか。医薬品卸最大手のメディパルホールディングスはトレードオフの関係にある難題に挑み、時系列データの分析手法を取り入れたシステム「PRESUS(プレサス)」に結実させた。流行によって毎週変動する医薬品在庫の発注を、実績データの分析を通して自動化したのだ。

●メディパルホールディングスが展開する調剤薬局向けの支援システム「PRESUS(プレサス)」の仕組み
●メディパルホールディングスが展開する調剤薬局向けの支援システム「PRESUS(プレサス)」の仕組み
写真撮影:北山 宏一(左、中央)
[画像のクリックで拡大表示]

 これで薬剤師の生産性を高め、「患者と向き合う時間を増やす支援をする」(依田俊英常務取締役IR担当兼事業開発本部長)。発注担当の薬剤師は端末の「推奨値」を見て、OKボタンを押すだけでよい。

 プレサスを導入した薬局は、現在220カ所。これを2016年度には1000店まで増やせるメドが立った。2020年度には10倍の1万店まで拡大して、調剤薬局の約20%をカバーすることを目指し、薬の流通にIT革命を起こそうとしている。

 既に結果は出ている。2012年から全144店でプレサスを導入してきた調剤薬局の薬樹(神奈川県大和市)は、欠品率が従来の5分の1である0.6%まで減少。特に予測がしやすい、「門前型」と呼ばれる医療機関のすぐ近くにある薬局では、欠品率が0.3~0.4%まで下がった。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
日経電子版セット今なら2カ月無料