ストレスなく使えて、やりたいことがすぐできます

通信サービスを支えるネットワークの運用を担当する川又 幸恵さんは、「ストレスなく使えて、やりたいことがすぐできる」かどうかを基準に、フリーソフトを厳選している。主にMacを使っている川又さんは、日頃から様々なフリーソフトを活用しているが、中でもオススメなのは、ターミナルソフト「iTerm2」と仮想アプライアンス「vEOS」、ファイル比較ソフト「FileMerge」の三つだ。
iTerm2はネットワーク機器やリモートホストに接続するためのMac用のターミナルソフト▼。Windows用ならTera Termが有名だが、iTerm2も同様の機能を持つ(Tera Termについては[第5回]の定番フリーソフトで紹介)。
川又さんのお気に入りは画面を分割する機能。「複数台のネットワーク機器に接続するときに、画面を分割すると、同報したコマンドの実行結果を一度に確認できて便利です」と川又さん。
ほかにも、iTerm2にコピー&ペーストした文字列を一覧表示できる「ペースト履歴」や、作業ログを取る機能もよく使う。文字列をペースト履歴から選ぶことで、「キー操作でペーストしたと思ったのにできてなかった」というよくあるミスがなくなる。作業ログを取る機能は、一度設定すれば以降の作業ですべて適用されるので、うっかり取り忘れるといったことがなく安心だ。
サーバーやスイッチなどにコマンドを送ったり、逆に機器からのメッセージを画面に表示したりする役割を果たすソフトウエア。
検証に便利な仮想アプライアンス
次に川又さんが紹介してくれたのは、無料で入手できる仮想アプライアンスだ。仮想アプライアンスは、VMwareやHyperVといった仮想化環境で使うソフトウエアベースのコンピュータのこと。これまで紹介したフリーソフトとはちょっとタイプが違うが、川又さんは「仕事が速くなりました」と太鼓判を押す。
オススメの一つが、米アリスタネットワークスの「vEOS▼」。同社のLANスイッチ専用OSを、仮想アプライアンスとして配布したものだ。
「物理装置に比べて、素早く検証環境を作ってコマンドを試せるので便利です」と、川又さんはメリットを語る。スイッチやルーターの学習用にも使える。「SDN▼が普及する中、ネットワーク技術者には仮想化やプログラミングのスキルがもっと必要になると思います」(川又さん)。
このほか、オープンソースとして開発されているソフトウエアルーターの仮想アプライアンス「VyOS▼」もオススメだという。
仮想化環境はVMware、Hyper-V、VirtualBoxに対応する。
Software Defined Networkの略。
オープンソースコミュニティのVyOS Projectが開発する。米ビヤッタが開発したオープンソースのソフトウエアルーター「Vyatta Core」の後継に当たる。Vyatta Coreは、開発元のビヤッタが米ブロケードコミュニケーションズ システムズに買収された後、開発が中止。Vyattaから派生する形で2013年12月、VyOS ProjectがVyOS 1.0.0をリリースした。