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 米IBMが創業100周年を迎えた2012年1月1日、サミュエル・パルミサーノ氏の後を継いでジニー・ロメッティ氏が7代目CEOに就任した。ロメッティ氏を後継に選んだパルミサーノ氏は、「ロメッティ氏は過去10年間、IBMグローバルビジネスサービス部門の設立から新興国市場の開拓まで、IBMの最も重要なビジネスをいくつも成功に導いてきた。彼女は最高に優秀な幹部以上の存在である。(中略)CEOとして、卓越したビジョンやお客様志向、たゆまぬ推進力、そして社員や会社の未来に向ける情熱を併せ持つ。ジニーはIBMを次の100年に導く理想的なCEOである」と述べ、後事を託したのであった。

 しかし、デジタルへと潮目を変える時代が、伝統あるIBMのCEOに就任したロメッティ氏に、まだ微笑かけていないようである。同氏がCEOに着任してから18四半期、つまり2012年第1四半期から2016年第3四半期までの全四半期で、ただの1度も前年同期と比較した売り上げがプラスに転じることはなかったのだ(図1)。

図1●米IBMの売上高伸び率(2011〜2016年)
図1●米IBMの売上高伸び率(2011〜2016年)
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 だが、4年を超えて続いている四半期ごとの売上下落がもう少しのところで止まり、浮上するところまで到達した。直近の2016年第3四半期がCEO就任時と同じ0.3%減、額にしてわずか5400万ドル下回るに過ぎず、ひいき目に見てほぼ横ばい水準に戻ったのだ。IBMは第3四半期、ウォール街の予想190億ドルを2億ドル上回る売上報告を発表した。

 ところがウォール街はまだIBMに対して厳しい見方をしている。その背景にあるのは、レガシービジネスのオペレーション、つまり顧客企業が自社データセンターをオンプレミスで運営するのを支援する事業の売り上げが引き続き下落しているからだ。しかも、下落幅が、第1四半期6%、第2四半期9%、第3四半期11%と四半期ごと拡大しつつある。

 それは,クラウドや分析といった、より将来性のあるデジタルビジネスの前進を打ち消して余りある金額の低下である。加えて、企業買収による売上増分2%、および外国為替のプラス影響1%を取り除くと、IBMは第1〜第2四半期の流れに沿ったおよそ3%の売上下降を第3四半期に経験していることになる。そのため、ウォール街はIBMの息の長い回復の見極めに慎重になっているわけだ。