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 某製造業の現役IT担当者が実体験を基に、新たなIT部門の在り方を提起する連載の第7回。10人いたIT部門が消滅して以降、著者は「ひとり情シス」として、一人でも運営できる体制を作り上げ、利用部門の期待にも応えてきた。だが、どんなに頑張っても人事評価は上がらない。エンジニアの仕事を評価する“仕組み”が無いからだ。納得できない気持ちを抱えつつも努力する著者を病が襲う。突然の3カ月間の休養。ひとり情シスの最大のリスクが遂に顕在化した。

 10人いたIT部門が消滅して以降、私は一人でどこまでできるか挑戦を続けてきた。具体的には、サーバー室に残された200台の物理サーバーの仮想化、災害対策、手出しができなかった基幹システムを取り戻し、ITベンダーとの関係を改善、DBやマスターの統合、運用改善、業務システム内製、データ活用などの取り組みを推進した。

 結果的に人件費も大幅に削減でき、ITベンダーへの丸投げから脱却し、システムの内製もできるようになったのだから、それなりの評価につながってもよさそうであるが、残念ながらここまでやっても評価はついてこない。ここ最近の評価は普通以下が定位置になっている。

 評価が報酬に連動しているため、納得できない気持ちを抑えるのに苦悩した時期もあったが、考え方を変えることで気持ちを落ち着かせてきた。これだけの規模のIT環境を任せてもらい、いろんな技術を学べる環境はそうはない。エンジニアにとってそれこそが一番の報酬である。

管理職にならないと評価されない現実

 IT部門が消滅してしまうくらいだから、評価も得られないことは、ある程度予想していたが、ここまでやっても状況が変わらないとは思わなかった。もちろん、私の存在と役割の必要性や、それなりに面倒な仕事をしているという認識はあるようだ。もし、本当に役割の認識や期待がなかったら、同じ仕事を続けさせてもらえないはずだ。

 しかし、それと評価とは別ということなのだろう。IT部門が無くなった後、居候として組織を転々として上司が変わったが、ITに対する認識や私の評価は似たようなものだった。そんな経験から、制度や仕組みの問題ではないかと考えている。もしかしたら日本企業が抱える構造的な問題なのかもしれない。以前は経営層の理解が足りないことが一番の原因と思っていたが、どうやらそうでもなさそうだ。IT部門が抱える問題は複雑で根が深そうである。

 結局のところ、管理職にならない限り、どんなにエンジニアとして努力し結果を出しても、評価されないのである。日本企業では管理職になることで一人前と認められるのが一般的だ。それを否定するつもりはないが、問題なのは、それ以外の道がほとんど無いことだ。特にエンジニアが上級エンジニアとして生きていくキャリアパスが、まったくと言っていいほど無い。