PR

 連載の最後として、若手ITエンジニアが抱える課題と身に付けるべきスキルの方向性を取り上げよう。

 筆者はすでに40代だが、コミュニティー活動やアジャイルコーチ業務を通じて20代から30代前半の人たちと話す機会が多い。新人研修を担当し、大学を出たばかりの国内外のITエンジニアとも話す機会がある。若手ITエンジニアを観察すると、その置かれた環境の違いが見えてくる。

 まずは大学までに学んできたことの変化だ。90年代後半からPCの低価格やインターネットの普及により、家庭や学校でコンピュータに容易に触れられる時代が到来した。そのころ小学生から高校生だった人たちが現在の若手ITエンジニアの世代になる。

 この世代は、それぞれ異なるコンピュータ体験を持っているが、検索エンジンを使って何かを調べたり、ソーシャルネットワーキングを使ったりすることに関しては共通の体験を持っている(図1)。

図1●今30歳の人が経験してきたIT環境
図1●今30歳の人が経験してきたIT環境
[画像のクリックで拡大表示]

 プログラミングも大学で体験している人がほとんど。学校によってはプロジェクト形式で実際のソフトウエア開発を経験したり、インターンシップで実際のソフトウエア開発業務を経験したりしている人もいる。社会人になる前に、ソフトウエアに関するカンファレンスに参加している人も、今は珍しくない。こうした人たちは、企業に入った時点で即戦力として貢献する力を備えている。

 楽天レシピや新規サービスの立ち上げを担当するエンジニアのAさんは、小学生時代に初めてインターネットに触ったデジタルネイティブで、大学時代にはすでに学生ベンチャーを手伝ってホテルのWebサイト作成を経験していた。楽天キレイドナビを開発したBさんも大学時代にWebサイト作成とプログラミングの講義や経験を積んでいる。楽天技術研究所でデジタルサイネージなどのインタラクションの研究を手掛けるDさんは中学時代にサイト構築とプログラミングの経験をしたという。

教育機会は自分で作る時代に

 ソフトウエア開発の現場は、技術の変化が激しい。頻繁に新しい技術に直面する宿命にある。新しい技術や現象に直面したとき、人はそれまでに知っている知識や経験を使って理解や確認をする。子供の頃からプログラミングをしてきたとか、学生時代にコンピュータサイエンスを学んできたとか、社会に出る以前に習得した知識や経験の影響も受け、学習スピードが人によって大きく異なってくる。