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 ドコモが共同実験を進める中で、最高速度を記録したのはエリクソンと進めている実証実験という。エリクソンのMassive MIMOアンテナは、15GHz帯、720MHz幅を利用し、アンテナ素子は128個。実験では、1台の端末当たり10Gビット/秒超を記録、2台の端末の同時接続では、1セル当たり最大20Gビット/秒も達成したという。5Gの要求条件となる10Gビット/秒超のピーク速度は、実証実験でも確認できるレベルに達していることになる。

 もっとも実際に10Gビット/秒超の速度を商用サービスとして達成するには、端末のチップ性能も進化する必要がある。この点についてNTTドコモの中村室長は3G以来の過去の端末のチップ性能の向上の傾向を調べたうえで、「2020年には5Gビット/秒のピーク速度を達成でき、その数年後には10Gビット/秒を達成できるようになるだろう」と推測する(写真5)。

写真5●エリクソンとの実験では1台の端末当たり10Gビット/秒超を記録。端末のチップ性能の傾向からも2020年には5Gビット/秒のピーク速度を達成でき、その数年後には10Gビット/秒を達成できるようになるだろうとドコモでは推測する
写真5●エリクソンとの実験では1台の端末当たり10Gビット/秒超を記録。端末のチップ性能の傾向からも2020年には5Gビット/秒のピーク速度を達成でき、その数年後には10Gビット/秒を達成できるようになるだろうとドコモでは推測する
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 大容量化の面では、ファーウェイと横浜メディアタワー周辺で実施している「世界最大の5Gフィールドトライアル」とうたうマルチユーザーMIMOのライブデモを紹介していた(写真6)。こちらは4.5GH帯 200MHz幅を利用し、23台の端末に対して複数台同時に送信する実験だ。Massive MIMOの特徴である細いビーム送信を利用し、空間的に多くの通信を多重することで大容量化を実現する。

写真6●ファーウェイと横浜メディアタワー周辺で実施している「世界最大の5Gフィールドトライアル」とうたうマルチユーザーMIMOのライブデモ
写真6●ファーウェイと横浜メディアタワー周辺で実施している「世界最大の5Gフィールドトライアル」とうたうマルチユーザーMIMOのライブデモ
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 こちらの実験では20以上のレイヤーによる空間多重によって、システム全体でトータル最大11.29Gビット/秒のスループットを記録したという(写真7)。1セル周波数当たりのスループットは最大79.82ビット/秒/Hz/セルとなり、現状の4×4 MIMOを利用したLTEの周波数利用効率が15ビット/秒/Hz/セルであることを考えると、5倍以上の周波数利用効率を達成していることになる。

写真7●20以上のレイヤーによる空間多重によって、システム全体でトータル最大11.29Gビット/秒のスループットを記録
写真7●20以上のレイヤーによる空間多重によって、システム全体でトータル最大11.29Gビット/秒のスループットを記録
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時速150キロメートルの高速移動時にも2.59Gビット/秒を達成

 Massive MIMOの特徴である超高速・大容量は、端末の位置に目がけて正確にビームを照射することで実現する。端末は静止しているケースだけではなく、移動している場合もあるため、その場合、ビームが追随できるのかどうかも課題となる。

 NTTドコモがサムスン電子と共同で実施している実証実験では、このような高速移動時におけるMassive MIMOの性能についても確認している(写真8)。こちらは富士スピードウェイにて時速150キロメートルで移動するクルマに対して、どの程度のスループットを実現できるのかという実験だ。実験では、28GHz帯、800MHz幅を用い、時速150キロメートルで移動中も最大2.59Gビット/秒の無線データ伝送に成功したという(写真9)。

写真●サムスン電子と共同で実施している高速移動時におけるMassive MIMOの性能実験
写真●サムスン電子と共同で実施している高速移動時におけるMassive MIMOの性能実験
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写真9●富士スピードウェイで実施した時速150キロメートルで移動しているクルマに対するスループットのテスト。移動中も最大2.59Gビット/秒の無線データ伝送に成功したという
写真9●富士スピードウェイで実施した時速150キロメートルで移動しているクルマに対するスループットのテスト。移動中も最大2.59Gビット/秒の無線データ伝送に成功したという
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 冒頭のNTTドコモの中村室長の言葉の通り、5Gの無線技術については、様々な状況における超高速・大容量を実現に向けた検証が進んでいる様子だ。