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 日経コミュニケーションは2016年7月から8月にかけ、毎年恒例となっている「企業ネット/ICT利活用実態調査」を実施した(調査概要は記事末)。クラウドは導入こそ伸びているものの、早急な移行を企業に促すような決め手に欠ける状況だった。

 クラウドサービスの利用は順調に伸びている(図1)。特にアプリケーションをネット経由で利用する「SaaS」は利用中の企業が44.3%に達した。「利用予定」(3.9%)や「利用する方向で検討」(5.1%)を含めると53.3%になる。メールやグループウエア、営業支援などを中心に浸透しているが、2015年調査に比べた伸び(利用中の企業)は僅か1.1ポイントにとどまった。2014年調査は同6.2ポイント、2015年調査は同3.1ポイントの伸びを示していたことを考えると、いよいよ勢いに陰りが見えてきたという見方もできる。

図1●クラウドサービスの利用状況
図1●クラウドサービスの利用状況
SaaS/PaaS/IaaSのいずれも微増した。SaaSは5割の到達も見えてきた。
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 次に利用率が高いのは、仮想化したサーバー資源をインターネット経由で利用する「IaaS」になる。利用中の企業は2015年調査から4.0ポイント伸びて23.6%に拡大した。2014年調査は同2.5ポイント、2015年調査は同3.6ポイントの伸びだったことを考えると、今後も拡大の余地が大きいようにみえる。ただ、「利用予定」(2.5%)や「利用する方向で検討」(4.9%)は1割に満たない。

 アプリケーションの開発環境や実行環境をネット経由で利用する「PaaS」は、利用中の企業が2015年調査から2.6ポイント伸びたが、13.7%と低水準にとどまる。2014年調査は同1.1ポイント、2015年調査は3.3ポイントの伸びだった。IaaSと同様、「利用予定」(1.2%)や「利用する方向で検討」(3.7%)も少なく、今後の展開が読みにくい。

 なお、クラウドサービスを利用中の企業は、売上高や従業員数の規模が大きいほど高くなる傾向もみられた。もともとクラウドサービスは初期投資を抑えられるのでスタートアップ企業をはじめとした小中規模に向くとされるが、日本では規模が大きいほどICTの利活用に積極的な企業が多くなるため、このような現象が生じているとみられる。

 このほか、SaaSに限っては業種別の利用率で「情報・通信業」(有効回答36件)が72.2%と突出して高く、「銀行・証券・保険」(同16件)が18.8%と低い結果が出ている。