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 日本のFinTech業界はどこが主導しているのか。このシンプルな問いに対する答えは難しい。そしてそれを表すキーワードが「ヘキサゴン・エコシステム」だ。

 2015年から2016年にかけ、金融庁の動きはすさまじかった。2015年12月には「FinTechサポートデスク」を設置し、民間企業からの問い合わせに自ら対応。さらに2016年3月には「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案(銀行法改正)」を国会に提出し、2016年5月には参議院で可決し、成立させた。仮想通貨への規制、銀行の出資規制の緩和など、次々と打ち手を繰り出す。金融庁の強いリーダーシップが業界を牽引していると言えるだろう。

 だが、同時に経済産業省もFinTech業界の2015年から「産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)」を開催し、政策上の課題をあぶり出すべく検討を重ねてきた。2016年7月からは「FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合(FinTech検討会合)」を開始している。官公庁でいえば金融庁と経済産業省、この二つが主にFinTech領域において業界の発展を促進するために動いている。

 では、民間はどうか。まずメガバンク、地銀などの金融機関は金融庁の動きに呼応する形で、FinTech領域で様々な取り組みを始めている。スタートアップ企業との提携を活発化させる動きもあれば、自らがスタートアップ企業のように動くところも出てきている。2017年は銀行API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を介した銀行とスタートアップ企業の協業、そして改正銀行法の施行による銀行によるスタートアップ企業への出資や買収など、より深いレベルでの提携が進むだろう。

 だが、国内で忘れてはならない存在がある。銀行のシステム開発を請け負ってきたベンダーの存在だ。アウトソーシングでシステム開発をしてきた銀行にとって、API公開や進める上でも必ずベンダーとの協業が必要になる。そしてベンダーもまた、スタートアップ企業との協業や出資、買収を模索する動きを見せている。

 こうした動きは事業会社も同じだ。ソフトバンクグループはみずほ銀行と提携したり、One Tap BUYというスマートフォン利用に特化した新しいタイプの証券会社に出資したりしている。コンビニ大手のローソンは銀行業への進出を決めた。事業会社もまたFinTech領域への進出、既存事業の拡張を虎視眈々と狙っている。

 金融庁、経済産業省、金融機関、ベンダー、事業会社、そしてスタートアップ企業。この6者が混沌としつつも、各プレイヤーが複雑に絡み合うのが「ヘキサゴン・エコシステム」だ。日本独特ともいえるこのエコシステムのバランスをどう取れば、イノベーションが加速するのか。そしてこの極めて緻密な舵取りをいったい誰が主導するのか。2017年、FinTech業界で注目すべきポイントはここに尽きると言える。