テクノロジーの進化が速く、製品やサービスの移り変わりが激しいIT業界。企業による情報活用のトレンドも目まぐるしく変化します。2017年は、どのような技術や考え方が、IT業界を席巻するのでしょうか。各分野の専門誌が予言します。

新ITキーワード2017
目次
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「IoT見える化」、何でも丸見え、異常対応が別次元に
企業の経営状態や職場、生産ライン、店舗などの状況を誰でも“見える”ようにする「見える化」。この見える化がIoT(インターネット・オブ・シングス)と融合することで劇的に進化する。これを「IoT見える化」と呼ぶ。
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「これだけ要求定義」、現状分析や文書化を“はしょる”
イノベーション型の案件においては、基幹システムの開発などで一般的な既存の要件定義の手法は通じにくい。そこで現状分析や文書化といったタスクを思い切って省略または簡略化。ITエンジニア主導で要求のアイデアを出し、反応を確認しながら少しずつ固めていく。
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「ポストISDN」、サービス終了で迫られる移行先選び
ポストISDNとは、2020年度以降に予定されているISDNの終了に伴い、代替として提供される製品や通信サービスのこと。
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「勝手IoT無線」、LPWAなら自営のIoTネットワークを構築できる
「LPWA(Low Power Wide Area)」を使って自社で構築したIoT向けネットワーク。LPWAは、省電力・長距離・低コストが特徴の無線通信技術。主要な方式のうち、「LoRaWAN」は免許が不要な920MHz帯を利用しており、企業が自前でIoTネットワークを構築できる。
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「モバイル新決済」、利用者も店舗端末もキャッシュレス化
2017年は「モバイル新決済」が発展する年になりそうだ。利用者と店舗の両側で、キャッシュレス決済にモバイル端末を使う動きが広がる。
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「脱BIND」、脆弱性多数の代表的DNSソフトから移行を
代表的なDNSサーバーソフト「BIND」には、以前から危険な脆弱性が相次いで見つかっている。DNSサーバーソフトを変更するのは容易ではないが、今年こそBINDへの依存を見直し、移行を検討しよう。それが「脱BIND」だ。
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「リアルタイムERP」、蓄積した大量データを今すぐ分析
ERP(統合基幹業務システム)に入力したデータを、すぐに経営状況の分析に役立てたい。2017年はこんな要望に応える「リアルタイムERP」の導入が進みそうだ。これまでの業務処理機能に加え、大量データを瞬時に処理する機能を備えるERPだ。
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「IoT VNE」、IoTビジネス向けにネットワークを提供
IoT(Internet of Things)に関連した製品やサービスを持つ企業向けに、IoT向けの無線ネットワークを提供する事業者のこと。
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「CDO対CIO」、情報化の旗手は変わるか
2017年、企業はIT化、デジタル化の司令官について決断を迫られる。新たに、CDO(最高デジタル責任者)を置くべきか、これまでのリーダーであるCIO(最高情報責任者)に任せるか、だ。
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「ヘキサゴン・エコシステム」、日本のFinTechを誰が主導しているのか
日本のFinTech業界はどこが主導しているのか。このシンプルな問いに対する答えは難しい。金融庁、経済産業省、金融機関、ベンダー、事業会社、そしてスタートアップ企業。混沌としつつも、各プレイヤーが複雑に絡み合う日本独特ともいえるこのエコシステムのバランスをどう取れば、イノベーションが加速するのか。
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「次世代ハイブリッドクラウド」、オンプレとの一元管理が劇的に変わる
物理サーバーやプライベートクラウドで構築したオンプレミス(自社所有)環境と、パブリッククラウドとを組み合わせたシステムリソース形態である「ハイブリッドクラウド」の次世代版のこと。2017年に新サービスが登場し、オンプレミス環境とパブリッククラウドとの連携や管理がより円滑になる。
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「キャリア経済圏」、あらゆる消費を取り込む携帯電話事業者
携帯電話事業者が従来の通信サービスに加え、物販や電力、保険といった様々なサービスの展開を通じて構築しようとしている経済圏のこと。ポイント戦略を基軸に顧客のあらゆる消費を取り込み、囲い込みの強化と新たな収益源の確保につなげる狙いだ。
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「セキュリティAI」、ITシステムをAIが守る
セキュリティAIは分析した結果として集められた情報を総合的に判断し、適切な処置を講ずる仕組みである。言わば、情報セキュリティ対策を実施するために特化した人工知能だ。
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「ドキュメント開発」、プログラムのように作成して管理
短期間で開発してこまめに改修を続ける開発スタイルの普及に伴い、ドキュメントもソースコードと同様に適切にバージョン管理し、着実に更新していく必要性が高まっている。それにはドキュメントをプログラムのように開発し、プログラムのように管理すると都合がよい。
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「HRテック」、IoTとAIを駆使して働き方を変える
2016年は日本企業の「働き方」に大きな関心が集まった。9月には安倍晋三政権で働き方改革実現会議が始動。翌月には電通社員の自殺が労災と認定されるなど、長時間残業の撤廃に向けて企業の意識が高まっている。
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「バイモーダルITエンジニア」、本当に必要とされるスーパー技術者の姿
デジタルトランスフォーメーションが進めば、求められるITエンジニアの姿も変わってくる。単に、新たな領域で強いだけでなく、従来のエンタープライズ領域のスキルも備える「バイモーダルITエンジニア」が必要とされる。
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「イノベ案件」、ITエンジニアの表舞台に
イノベ案件とは、イノベーション創造型のITプロジェクト案件のこと。ITを活用して新しいデジタルビジネスやデジタルサービスを創出する。AIやIoT(Internet of Things)、ビッグデータといった最新技術を多用することから、ITエンジニアが今後活躍する“表舞台”として注目されている。
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「Pay Wars」、モバイルウォレットの主導権巡り競争激化
スマートフォンをモバイルウォレット(財布)として使うための最新決済サービスが続々と登場し、利用者の獲得を巡る競争をが始める。米アップルが2014年に「Apple Pay」を開始して以降、IT業界の巨人たちがそれぞれの強みを生かした決済サービスを相次ぎ開始した。
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「AIチップ」、深層学習に特化したプロセッサが相次ぎ登場
人工知能(AI)の演算処理を担うことを目的に開発された半導体チップのこと。特に2017年は、ディープラーニング(多層ニューラルネットワークによる機械学習)の学習や推論に特化したチップが相次ぎ登場しそうだ。
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「アイドルストップアーキテクチャー」、究極の資源共用が普及へ
「AWS Lambda(ラムダ)」というAmazon Web Servicesのサービスをご存じだろうか。イベント駆動型コード実行サービスと呼ばれるもので、データベースにデータが書き込まれるといったイベントやスケジューラーをトリガーにして起動し、登録しておいたJavaなどのコードを実行する。