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「プラットフォーマーにはならない」

 顧客の個別要求に応じて、いかようにもシステムを“手作り”するSIは、一種の御用聞きビジネスである。だからこそ新たなビジネスを興すことで、SIという従来のビジネスモデルから脱却を図らないといけない。大手SIerの経営幹部は皆そう語るし、私も「極言暴論」などで何度も主張してきた。ユーザー企業、あるいは異業種との共創による新規事業でも、共同で新たなサービス、新たな市場を創るといったイメージだ。

 だが、NTTデータの描く新規事業、そして共創の取り組みは、少しニュアンスが異なる。NTTデータが注力するIoT(インターネット・オブ・シングズ)や人口知能(AI)関連の新規事業としては、今、世界の大手ITベンダーが「プラットフォーマー」の座を賭けて市場創造に向けた戦いを繰り広げている。プラットフォーム提供というサービスビジネスを確立できれば、IoTやAIの分野で主導権が取れる。汎用のクラウドサービスに続く“二匹目のドジョウ”を狙う戦いだ。

 米GE(ゼネラル・エレクトリック)や米IBM、それに富士通、日立、NECなどがこぞって参戦しているのだが、NTTデータはこうしたプラットフォームビジネスから距離を置く。NTTデータは「プラットフォーム提供ビジネスは技術的に差別化が難しいから、GEなどと同じ事をやろうとは思わない」(ビジネスソリューション事業本部長の佐々木裕執行役員)とする。

 だが、NTTデータはSIビジネス以外にも、カード決済関連サービスの「CAFIS」や、金融関連サービスの「ANSER」など一種のプラットフォームサービスを長く運営してきた。デルのITサービス部門の買収が完了すれば、海外の売上高比率が5割に高まるわけで、もはやドメスティック企業ではない。だから海外の投資家にも分かりやすい「グローバル・プラットフォーマー」を志向する選択肢もあると思うが、NTTデータはあくまでも慎重だ。

 その代わりSIerらしく、「顧客の御用を聞く」形の共創で新規ビジネスの創出を目指す。例えば今回、NTTデータが自らのイチオシ事例として挙げた日立造船との共創は、「顧客を対等の事業パートナーとして『共』に新規ビジネスを『創』る」意味の共創ではなく、「新技術が顧客のビジネス課題にいかに有効かを、顧客と『共』に検証することを通じて、NTTデータとしての新しいビジネスを『創』る」というものだ。