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 日本でも人工知能(AI)が一大ブームになり、技術的に可能というだけでバラ色の世界を描く「AI詐欺」も横行している。そんなAIブームのウソとホントに斬り込む連載の第2回は、そもそもAIとは何なのか、「過去のAI」「機械学習」「ディープラーニング」の違いは何かを解き明かす。映画のようなAIによる人類支配が起こり得るかについても、答えを用意した。

 人工知能(AI)とは、概念的に言えば「人間の代わりとなって状況に合わせて自律的に判断/実行をしてくれる技術」を指し、実は昔から私たちは馴染み深くAIを使っている。代表例が1990年代に流行した家電のファジー機能だ。

 わかりやすく言うと「お任せ機能」である。洗濯物を入れたら、あとはボタンを押せば、自動的に選択から乾燥までしてくれる洗濯機や、米と水を入れてボタンを押せば、自動的に炊き上げてくれる炊飯器は、まさに「状況に合わせて自律的に判断/実行してくれる」機能だ。

 いまではスマートフォンのアプリにもなっており、本職の棋士が対局中に使ったのではないかという疑惑が持ち上がったような、将棋や麻雀などの自動対局機能もAIである。その強さに違いはあれど、1990年代から既にゲームセンターや卓上型ゲーム機で実装されており、学生時代や若手時代に実際に利用した経験のある読者も多いだろう。

 おそらく多くの読者にとっては、「それは現在メディアで伝えられているAIとは違う」と感じられると思うが、事実これらはAIである。では、いまAIと言われているものは一体何なのだろうか。

機械学習は判断方法を自動算出

 過去と現在のAIとの違いは、大きく言うと「人間がパターンを定義して事前に対応策を定義する」のか、「人間は評価基準だけを決めて、あとは機械に何度も試行させ、その試行の中で評価基準の高い対応策が見つかるたびに対応策を自動更新させる」のかの違いである。

 医療診断、例えば風邪診断AIを作る場合で違いを挙げてみよう()。過去のAIでは、人間が、各患者のデータに「健康」「風邪」「要精密検査」の診断結果を設定し、かつその分析に必要な体温、血圧、せきの有無、喉の腫れ、肌の色、などの情報項目を設定する。AIは設定された情報項目で分けることができるパターンを全て洗い出し、各パターンに当てはまる患者のうち、各診断結果の患者がどれくらいいるかの確率を算出する。データが増える都度、算出される診断結果確率が変わる。

図●風邪診断AIで比較する「過去のAI」と「現在のAI」
図●風邪診断AIで比較する「過去のAI」と「現在のAI」
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