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 イノベーション統括部は各部門のIT要員では対応しきれない複雑な内容の問い合わせやRFPの作成などについて後方支援する。関西空港内にある本社は、全部門が同じフロア、1つの部屋に入居しており、部門間の垣根が低い。各部門とイノベーション統括部のIT要員たちも頻繁に顔を合わせている。

関西空港内のピーチ本社。ワンフロアで壁もなく、各部門のIT要員が集まりやすい(左上、下)。右上はITによる新サービスや新システムの開発を担う、イノベーション統括部の社員
関西空港内のピーチ本社。ワンフロアで壁もなく、各部門のIT要員が集まりやすい(左上、下)。右上はITによる新サービスや新システムの開発を担う、イノベーション統括部の社員
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 イノベーション統括部が新規のシステムやサービスの開発を手がけることもある。最近では国際線の自動チェックイン機にビザ確認機能を追加した。

 一般に国際線は、乗客が到着地で入国できるパスポートやビザを保有しているかどうかを、航空会社の責任でチェックすることが求められる。仮に乗客が到着地で入国を拒否されると、航空会社が運賃を負担し出発地に連れ戻す義務が生じる。

イノベーション統括部が開発したビザの有効性チェック機能付きチェックイン機
イノベーション統括部が開発したビザの有効性チェック機能付きチェックイン機
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 ピーチはLCCとして運航コストを抑えるため、チェックインは空港の自動チェックイン機でするよう誘導している。しかし同社が国際線に就航した当初、ビザは有人カウンターで空港スタッフが目視で確認せざるを得なかった。人件費もさることながら、ビザの確認は複雑で責任も重大なためスタッフの心理的な負担も大きかった。

 「人手では無理。システムで何とかできないか」。空港部門のIT要員から相談を受けたイノベーション統括部のメンバーは、パスポートスキャナーで読み取った画像をOCR(光学的文字認識)でテキストに変換してビザが有効かどうかを確認する海外の航空業界向けクラウドサービスを探し出し、チェックイン機の操作フローにビザのチェック機能を組み込む改良を2カ月ほどで施した。「ビザのチェック機能を備えるチェックイン機はほとんどない。確認を含めても、乗客1人あたり30秒程度で手続きを完了できる自動チェックイン機は当社のものくらいだろう」(前野部長)と胸を張る。