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 人工知能(AI)の演算処理を高速化できる半導体チップ「AIチップ」の開発競争がヒートアップしている。2017年から2018年にかけて、第3次AIブームの火付け役である深層学習(ディープラーニング:多層ニューラルネットワークによる機械学習)の演算に特化したチップが国内外で相次ぎ登場しそうだ。

 「今や、あらゆる国内半導体メーカーが人工知能(AI)チップの研究開発を手掛けているのではないか」。ある大手企業の半導体技術者はこう話す。

米、英、韓、イスラエルでAIチップの開発が加速

 AIチップの開発で先行しているのは海外企業だ。米グーグルは2016年5月、深層学習専用のチップ「Tensor Processing Unit(TPU)」を同社のデータセンター内で1年前から利用していると公表した。その後、囲碁AI「AlphaGo」、Google翻訳などでTPUを実際に使っていることを明らかにした。

 米インテルは2016年に、AIチップ開発企業を相次ぎ買収した。深層学習向けAIチップを2017年前半に出荷する計画の米ナーバナシステムズ(Nervana Systems)や、ドローンやロボット向け画像処理チップを開発する米モビディウス(Movidius)などである。

 韓国サムスン電子や独ボッシュなどは2016年11月、AIチップ開発スタートアップの英グラフコア(Graphcore)に34億ドルを出資した。運転支援システムを開発する、イスラエルのモービルアイも、画像処理に深層学習を取り入れた専用チップを開発している。

 半導体技術のオリンピックとして知られる国際会議International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)でも「深層学習向けAIチップの発表が増えている」(ISSCCの国内委員会メンバー)。2016年と2017年2月開催のISSCC 2017で、発表件数は計10件に上る。

 うち5件は、韓国科学技術院(KAIST)によるものだ。「アナログ回路を使うなどユニークなアプローチを採っている。実動するシステムまで仕上げるため、発表にインパクトがある」と同委員メンバーは評する。