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 今回、MI MIXの分解に協力してくれた東京大学生産技術研究所の山中俊治教授は、セラミックスのフレームと一体になっている勘合用樹脂パーツの精度とその作りに注目していた。「その位置精度の高さにも驚くが、1つのセラミックスフレームに樹脂が何度にもわたってインサート成形された跡がある。非常に手間をかけた作り」。素材のみならず、その加工方法にもかなりのコストがかかっている。中国メーカーの技術力と執念を見せつけられた部分だ。

「MI MIX」を分解した様子。ジルコニアのきょう体には、樹脂がインサート成形されている。複数の樹脂パーツを何度もインサート成形した後があり、非常に手間のかかった加工となっている
「MI MIX」を分解した様子。ジルコニアのきょう体には、樹脂がインサート成形されている。複数の樹脂パーツを何度もインサート成形した後があり、非常に手間のかかった加工となっている
撮影:スタジオキャスパー
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アップルに「脱アルミ」が可能か

 こうした「脱アルミ」の動きには、理由がある。ある技術者によれば「5G(第5世代移動通信システム)が採用されると、電波がこれまで以上に届きにくくなる。電波を通しにくい金属きょう体を使いたくないという思惑がメーカーにはある」という。

 アップルも、アルミに代わる新素材開発を行っている。Apple Watchの最高級モデルではケース本体にセラミックスを採用しており、さらにセラミックスを焼結せずに短期間で成形できる特許を持つなど、セラミックスの活用に向けて着々と技術開発を進めている。ほかにも金属ガラスなどに関する技術もアップルは持っており、アルミニウムの次の素材開発に余念がない。

Apple Watch Series 2のApple Watch Edition。きょう体のセラミックスは、ジルコニアと酸化アルミニウムを混ぜ合わせて焼結したもの
Apple Watch Series 2のApple Watch Edition。きょう体のセラミックスは、ジルコニアと酸化アルミニウムを混ぜ合わせて焼結したもの
出所:アップル
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 アルミニウムを中心として急成長したアップルの10年だったが、他社も含めた新素材開発競争が激化するなか、次の10年に向けた一手をどのように打ってくるのか。今アップルは脱アルミを図る必要に迫られている。