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 「会社を辞めたらどうやって自分は生きていくのか、どういう生き方を子供に見せていくんだ」みたいなことを奥さんに尋ねたことがありました。その時、「もし株が売却できて、別に仕事する必要がなくなるんだったら何もしなくてもいいじゃん」と言われたんです。

 その時に、何もしないで生きていくという選択肢ってあるんだと、すごくびっくりしました。そして、それでいいんだと思ったんです。

 僕にとってはエポックメーキングな出来事です。それまではとにかく仕事をしなきゃいけない、会社に戻らなきゃいけないという切迫感、焦燥感がすごくありましたから。

 辞めたエンジニアから「働く姿を娘さんに見せてあげてくれと言われたんだよね」と話したら、「収入につながらないかもしれないけど、別に(がんについての)ブログを書いて情報発信するのも、本を書くのも仕事なんだから」と言われて。「娘はオーシャンブリッジ、パパの会社と言っているけど、そうじゃなくても世の中の役に立っていけるんだったら仕事だし、それでいいんじゃないの」と言ってくれました。これは大きかった。

 こういった家族とのやり取りなどもあり、高山さんは、信頼できる企業への株式の売却を決める。そして、2017年2月1日、オーシャンブリッジは1月31日に株式の過半数をノーチラス・テクノロジーズに譲渡し、同社の子会社となったと発表した。

 譲渡されたのは高山さんの株式だ。条件面だけでなく、交渉の過程で「無理に合併させるのではなく、オーシャンブリッジのカルチャーや強みを今後も尊重してくれる」と確信できたことが、ノーチラスを選んだ理由だったという。

 ここで予想外のことが起こる。高山さんは株式売却を機に、オーシャンブリッジから完全に離れ、がんの啓発活動を新たな仕事にしようかと考えていたが、請われてファウンダーに就任することになったのだ。

(次回に続く)