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 このときは濃淡の戦略から見直す時間的余裕はなかった。そこで、その時点でのテキストを全て埋めた提案書の仮完成版を作った。並行して重点項目を検討し、記述を書き換えていった。怪しいところは仮説ベースで記述し、専門家チームに書き換えてもらった。

 この方法の良いところは、いつでも終われることだ。最低限の品質を確保した上で、少しずつ品質を上げられる。最後に「てにをは」をチェックして文章を見直す時間をとり、完成させる。

 逆に悪いところは、最後まで忙しいこと。書き直しの繰り返しはつまり手戻りの連続だ。由緒正しい開発PMなら発狂しそうになる。こうして、バタバタと提案書が出来上がった。幸い顧客からは高い評価を得たが、もっと効率的にできなかったのか反省は残る。

 濃淡を踏まえた進め方は、提案書作成に限らず上流系のコンサルティングの基礎になる。ふわふわな要求を固めながら進めないといけないからだ。提案書作成を通じて、どこを濃くしてどこを淡くするか見極める力を身に付けたい。ここを見誤ると、忙しくかつ顧客満足を満たせない結果に終わる。

林 浩一(はやし こういち)
ピースミール・テクノロジー株式会社代表取締役社長
富士ゼロックス、外資系データベースベンダーを経てウルシステムズに入社。上流コンサルティング事業の立ち上げのためITエンジニアのスキルアップ教育を実施。産業技術総合研究所でのシステム開発で培った技術の展開をミッションとする関連会社(現職)を設立、代表に就任。