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総務省は2015年9月10日、来年(2016年)に導入する「初期契約解除制度」をはじめとした消費者保護ルールの細部を決めるための議論を開始した。通信事業者や販売代理店にとっては条件のわずかな違いで大きな影響を受けかねないため、最後の“条件闘争”となる。全国携帯電話販売代理店協会(全携協)は、携帯電話の適用除外を要望して大逆転を狙う。

図1 電気通信事業法の改正で新たに導入される消費者保護規律
図1 電気通信事業法の改正で新たに導入される消費者保護規律
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 総務省は2014年12月、通信サービスにまつわる苦情・相談件数の増加を受け、消費者の保護を強化する規則を電気通信事業法に盛り込むことを決めた。具体的には、書面の交付義務、初期契約解除制度、不実告知などの禁止、勧誘継続行為の禁止、代理店に対する指導などの措置義務である(図1)。改正電気通信事業法の施行は来年だが、今回は広く一般に影響するため、遅くとも年明けには周知を始めなければならない。10月中旬までに結論を出したい考えだ。

適用除外や対象外の要望が相次ぐ

 今後の議論で最大の注目は、契約締結書面の受領後などから8日間は契約を解除できる初期契約解除制度である。店舗販売の端末を対象外とする方針は決まっているが、5月22日公布の改正電気通信事業法では、対象サービスについて「総務大臣が指定する」と記されているだけである。契約を解除できても通信料金や工事費などは対価の請求が認められており、その範囲も争点になる。

 9月10日の会合では、全携協が携帯電話の適用除外を求めた。苦情・相談件数は2014年度も大幅に増加したが、目立つのは光回線を中心としたインターネット接続関連。携帯電話も増えてはいるが、全体の契約数が伸びていることを踏まえると、問題が深刻化しているわけではないとする。全携協では幹事社の直営ショップで苦情・相談の収集と分析を進めており、5~7月の調査では、初期契約解除制度の対象となる事象は来店客600万人のうち、90件(0.002%)にすぎないといったデータも披露した。

 一方、電気通信事業者協会(TCA)は加入電話やISDN、公衆無線LAN、ADSL、PHSなどの適用除外を求めた。加入電話やISDNは「契約条件が複雑と言えない」、「契約の離脱が容易」、公衆無線LANは「利用が短期間で限定的」、ADSLやPHSは「縮減傾向にある」などの理由を挙げる。書面の交付に関しても、法人契約や無料のオプション、既存契約者の変更手続きなどは、能動的な契約であることや不利益性の低さなどを理由に対象外とすることを要望している。

 もっとも、これらの言い分をすべて認めると、当初の目的が薄れて形骸化してしまう。例外の多い複雑な制度となり、かえってユーザーの混乱を招く恐れもある。消費者団体を中心に強い反発も予想され、総務省の最終判断が注目となる。