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 VR(仮想現実)やAR(拡張現実)のスタートアップが多く集まる米国の都市はどこか、ご存じだろうか。ハイテク集積地のシリコンバレー、映画産業の一大拠点ロサンゼルスあたりは、すぐに思い付くだろう。

 米国全土を回って日々スタートアップに接している筆者の経験から言えば、これら2大拠点に次ぐのはシアトルである。人口は米国第20位の約67万人。2017年第1四半期にスタートアップに投下されたベンチャー投資額はわずか3億ドル(340億円)と、シリコンバレー地域の67億ドル(7600億円)の20分の1以下にすぎない(米調査会社ナショナル・ベンチャーキャピタル・アソシエーション調べ)。全体の規模は決して大きくないが、VR/AR分野にはかなりの資金と企業が集まっている。

図 ゲーム開発ツール「Unity(ユニティ)」の画面
図 ゲーム開発ツール「Unity(ユニティ)」の画面
(撮影:GREE VR Capital)
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 シアトルにVR/AR企業が集積する理由の一つが人材である。VR/ARのコンテンツやソフトウエアを作るには、Unity(ユニティ)をはじめとする開発ツールを使って3次元(3D)のモノやキャラクターを作る技術が欠かせない。このスキルを持った人材を豊富に抱えるゲーム会社が、シリコンバレーとロサンゼルスに次いでシアトルに多い(ゲーム業界向け人材サイトのゲームジョブハンター調べ)。ゲーム業界出身の人材がVR/ARのスタートアップに流れていると推察できる。

 米マイクロソフト(MS)の存在も見逃せない。同社はゲーム事業部門「Xbox」を抱えており、VR/AR人材の需要喚起にも大きく貢献している。

 何よりARグラスやVR用ヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)を自ら開発していることが大きい。筆者がシアトルで会ったVR/ARスタートアップは創業チームがMS出身だったり、同社と共同プロジェクトを進めていたりと、何らかのつながりを持つ会社が多かった。

 MSは言わずと知れたPC向けOSのWindowsを開発した会社である。今でもPC向けOSで9割のシェアを握るが、この10年ほどでデジタル機器の主役はスマートフォンに移った。スマホのOS市場は米アップルと米グーグルが二分しており、MSの存在感はあまりない。