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 当初から、予定通りに稼働するのか不安視されていた、東京電力パワーグリッド(PG)の託送業務システム。2016年4月に始まった電力小売りの全面自由化には間に合ったものの、一部の電気使用量を計算できない事態が発生した。

 その影響を受けたのは、電力自由化で小売り事業に新たに参入した企業である。電気使用量が分からないため顧客に料金を請求できない。新規参入の事業者からは「顧客の離脱につながる可能性がある」と不満が上がった。

 前回取り上げたように、その原因はシステムの不具合にある。こうした不具合を、東電PGはなぜ事前に見つけられなかったのか。

業務に精通したベンダーが開発チームにいない

 最大の問題点は、これまで旧東京電力が実施してきたさまざまなシステム開発プロジェクトと、体制が大きく異なっていたことだ。東京電力ホールディングスグループのシステム開発会社である、テプコシステムズの役割がいつもと違っていた。

 テプコシステムズは、東京電力ホールディングスの100%子会社。東京電力の業務に精通したエンジニアを、多く抱えている。「これまでの大規模なシステムの開発には、テプコシステムズが開発ベンダーとして入ってもらっていた」と東電PGの田村豪一朗パワーグリッドサービス部課長は説明する。

 しかし託送業務システムの開発プロジェクトに、テプコシステムズは開発ベンダーとしては参加していない。実は、発注者側である旧東京電力、東電PGと同じチームとして動き、RFPの作成やプロジェクト管理などを担っていたのだ。

 託送業務システムの開発については、業務に詳しいテプコシステムズが設計・開発の現場に「不在」だったことが大きく影響したといえる。

託送業務システムの開発では、テプコシステムズの役割が異なる
託送業務システムの開発では、テプコシステムズの役割が異なる
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