米国の通信業界は、共和党トランプ政権の発足を機に事業者の合従連衡が進むとの観測が高まっている。背景には、市場の飽和を受けて新たな収益源を見い出そうとする携帯電話大手の動きに加えて、映像市場におけるビジネスモデルの変化がある。再編の鍵を握るT-Mobileをはじめ、米国の業界動向を解説する。

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激動の米国通信業界
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グーグルも交えて大混戦、通信・メディア再編の鍵は映像とモバイル
米国の携帯電話は主力のポストペイド(料金後払い)加入者の増加が頭打ちで、市場の飽和が鮮明となってきた。VerizonとAT&Tの大手2社は映像サービスを新たな成長領域と位置付け、映像コンテンツやモバイル広告などの関連技術を持つ企業の買収を積極的に進めている。
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一気にCATVは再編、映像サービスを巡って競争が激化
米国では、NetflixやHuluに代表されるOTT(Over The Top)のビデオサービスの台頭により、CATV事業者の再編が進んだ。一方、通信大手も携帯電話市場の飽和を受け、映像をはじめとした新たな収益源の開拓を急ぐ。ビデオサービスの市場を巡って競争が激化しており、さらなる再編が進むとの観…
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「二強二弱」、T-Mobile躍進でも構図は変わらず
脱キャリア戦略を掲げ、米国の携帯電話市場でユニークなサービスやプロモーションを次々と打ち出してきたT-Mobile US。業界3位に浮上して競争をリードするが、「二強二弱」の構図は依然として変わらない。真の意味で二強に対抗できる存在となるためには一段の飛躍が必要であり、近い将来に起こるであろう米国…
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再編の鍵を握る米T-Mobile、ソフトバンク子会社と合併の観測も
米国の携帯電話市場では、全国事業者と呼ばれるVerizon Wireless、AT&T、T-Mobile US、Sprintの大手4社が活発な競争を展開している。ここ数年、競争をけん引しているのが、Deutsche Telekom(DT)傘下のT-Mobileだ。