クラウドを巡る「戦国時代」が幕を開けた。シェアトップに君臨する米アマゾン・ウェブ・サービスといえども枕を高くして寝ていられない。新興勢力が台頭し、勢力図が塗り変わろうとしている。クラウドのデータを分散処理して性能と効率を高める「エッジコンピューティング」の分野でも、新たな「エッジの陣」が始まった。「武将」はIT企業に限らない。トヨタ自動車は米インテルやNTTなどと組み、コネクテッドカーに必要なデータ処理基盤の開発に乗り出した。IoT(インターネット・オブ・シングズ)の戦いを制するのは誰か。

クラウド・エッジ戦国時代
目次
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AWS対抗のSAP特化型クラウド、台風の目となるか
特定用途に特化してAWSに対抗するベンダーもある。米バーチャストリームは欧州SAP製アプリに特化したクラウドを手掛ける。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が「CUVICmc2」の名前でバーチャストリーム製のクラウドを2016年8月から運用。
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PaaSが進化、もっと安く手離れ良く
DeNAの菅原賢太グループマネジャーは同社の米国子会社でグーグルのPaaSを全面採用した経験から、任天堂とのスマホ向けゲーム開発でもグーグルのPaaSを導入した。
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保険金の支払いに深層学習、「エッジAIセンター」を構築
SOMPOホールディングス
SOMPOホールディングスグループの損害保険ジャパン日本興亜は2018年2月から全国に300拠点ある保険金の支払い担当部署に「AI音声認識システム」を導入する。
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店奥までの誘導客を2割増やす、エッジで店内動画を分析
トライアルホールディングス
福岡県福岡市のトライアルホールディングスは2017年中にエッジコンピューティングを活用した新システムを本格導入する。ディスカウントストアであるトライアルカンパニーの親会社である。
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エッジコンピューティング、近くで処理する利点は3つ
「エッジの陣取り合戦が始まる」。NECの岡山義光 IoT基盤開発本部 技術部長は武者震いする。IoTが普及すればするほど、大量のデータが発生するセンサーなどに近いエッジでデータを処理する必要に迫られる。
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盛り上がるエッジコンピューティング、トヨタが開発に着手
クラウドの戦線はデータセンターを飛び出し、工場やオフィスなどにも及んでいる。センサーやカメラなどのデバイスや中間サーバーといったクラウドの端(エッジ)でデータを処理したり管理したりする例が急増している。IoTの時代は大量データを一段と高速に処理する必要があるため、エッジコンピューティングに期待がか…
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クラウド戦国時代、グーグルがAWSにじわり迫る
IoTの時代に入り、クラウド戦線に異変が起こっている。首位のAWSからグーグルのクラウドに乗り換える企業が目立ち、エッジの分野ではトヨタ自動車やコマツが参戦。ユーザー企業も巻き込み、王者不在の乱戦状態だ。