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 設計を担当したPLPアーキテクチュアの相浦みどりディレクターは、「デロイトから『ジ・エッジは我々のチームの一員だ。従業員に働きかけてくれる』という評価を得ている」と話す。

 ジ・エッジへの移転後、デロイトが採用活動のために実施している「キャリアオープンデイ」と呼ぶイベントへの応募者が2.5倍に増加した。就職希望者から送られてくる履歴書も倍増し、就職希望者の62パーセントがジ・エッジで働けることを応募理由に掲げたという。

 三井不動産と三井デザインテックは2017年3月、米国・シリコンバレーエリアを中心に共同で実施した意識調査を基に「USオフィスワーカー調査2016」を公表した。それによると、生産性を高める空間づくりには、様々な機能のワークスペースが必要だと分かった。

 調査でオフィスに導入されているスペースの有無を聞いたところ、「プレゼンルーム」や「集中作業コーナー」があるとの回答が9割を超えていた。こうした集中作業コーナーやコワーキングスペースを活用し、仕事の特性に合った作業環境をオフィスワーカー自らが選ぶ働き方が浸透していることが明らかになった。

15階まで貫くアトリウム(写真:Ronald Tilleman)
15階まで貫くアトリウム(写真:Ronald Tilleman)
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繊維ロッドで善光寺を改修

 ここまでは主に海外で先行する建築技術を紹介してきた。日本が世界に誇る技術はないのかと問われれば当然ある。中でも老朽施設などの再生に欠かせない耐震補強技術は日本が世界に誇れる代表格だ。

 近年では、最新の繊維素材で耐震化を図る技術が実用化されている。善光寺は2017年に繊維メーカーの小松精練と金沢工業大学革新複合材料研究開発センターが共同で開発した炭素繊維複合材料「カボコーマ・ストランドロッド」を、国の重要文化財である「経蔵」の耐震補強材に用いた。鉄筋ブレースを用いた在来工法に比べて木材を傷つけるリスクが小さく、耐久性が高い。施工も容易で工費を抑えられる。

 カボコーマ・ストランドロッドは、炭素繊維をロープ状に加工し、それを7本より合わせたものに熱可塑性樹脂を含浸させた材料だ。せん断に弱い炭素繊維の短所を補った。鉄筋と比べて比重が約4分の1、引張強度は約7倍と軽くて強い。価格は1メートル当たり3000円だ。さびが発生しないうえに結露が起こりにくい。こうした点が木造文化財の耐震改修に向いていると判断され、採用に至った。

「ファーボ」のカーテンのドレープを思わせる外観
「ファーボ」のカーテンのドレープを思わせる外観
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 耐震補強材にカボコーマ・ストランドロッドを用いた建物として2015年に改修した「ファーボ」がある。新国立競技場の設計も手掛ける建築家、隈研吾氏が設計を担った。1968年に竣工した鉄筋コンクリート造三階建ての小松精練の旧本社棟を耐震改修し、展示体験型の施設としてリニューアルしたものだ。炭素繊維ロッドを耐震補強に活用するとともに、炭素繊維ロッドを効果的に見せて高い意匠性も実現した。同材料は2018年にJIS(日本工業規格)で認定される予定だ。