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仕様書インスペクションの具体例

 仕様の欠陥の種類、発生の背景はさまざま存在する。詳細設計書を例に、よくある欠陥事例と仕様書インスペクションでの摘出のやり方を説明しよう。

詳細設計書に対するインスペクション実施結果の例
詳細設計書に対するインスペクション実施結果の例
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 インスペクターはこの詳細設計書を見て、観点チェックリストを参照しながら問題点がないかどうかをチェックする。上記の例は「試験性」「統一性」「追跡可能性」の観点で抜け漏れがある。ここでは試験性の観点を詳しく見ていこう。

 試験性とは、テストしやすい仕様書になっているかどうかということ。上記の例では、取得したデータ件数に応じた処理条件について、請求先が1件以上の場合と請求先が2件以上の場合は明記しているが、請求先が0件の場合、最大件数の場合について記載がない。また、そもそも最大件数は何件なのかが分からない。

 このままではテスト結果に影響を与える条件、因子(テストに影響する要素)が取りうる値や状態である「水準」や、テストケースにおいて期待される結果である「期待値」の洗い出しを行えない。そのため、実装漏れやテストケース設定漏れのリスクが懸念される。

 このように、試験性の観点では、「取りうる水準を網羅できる記述となっているか」「確認対象とすべき期待値が抽出できるか」といった観点で指摘を行う。

 繰り返しになるが、欠陥の発見が後工程になるほど、修正にかかる工数やコストが増える。テスト工程に入る前に仕様書インスペクションで欠陥の検出、除去活動を行い、テスト工程までに埋め込まれる欠陥を最小限に抑え込むことが重要だ。

水谷 瑛子(みずたに えいこ)
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