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 「モノのインターネット」であるIoTが盛り上がっている。IoTとは、あらゆるモノをインターネットに接続して使えるようにするための概念や仕組み、技術を指す。

 従来のインターネットは、「ヒト」が主役だった。ヒトがパソコンなどのIT機器を使って地理的な制約を受けずに情報をやり取りし、新たな価値を生み出した(図1-1)。

図1-1●モノがつながるIoT
図1-1●モノがつながるIoT
IoTとは、あらゆるモノをインターネットに接続して使えるようにするための概念や仕組み、技術のこと。モノ同士あるいはヒトとモノがインターネットを介して情報をやり取りする。
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 IoTでは、IT機器以外の機器もインターネットに接続する。例えば、自動車や家電、家屋、時計やメガネ、環境測定用センサーなど様々なモノがつながり、情報をやり取りする。

 IoTが普及すると、インターネットにつながる機器は爆発的に増える(図1-2)。パソコンのような固定された機器が接続していた時代のインターネットには、全世界で5億台程度がつながっていたという。それが、携帯電話やスマートフォンといったモバイル機器の普及で一気に120億台を突破。IoTが広がることで、2020年には500億台がインターネットに接続すると予想されている。

図1-2●つながる機器が爆発的に増加
図1-2●つながる機器が爆発的に増加
インターネットにつながる機器は、今後爆発的に増大することが見込まれる。これらがデータをやり取りし、新たな価値を生み出す。数字は、米シスコシステムズの予測に基づく。
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新サービスや新規格が登場

 コンピュータ以外の機器をネットワークにつなぎ、情報を収集したり、操作したりすることは、IoTという言葉が生まれる10年以上前から行われている。

 機器のつながり方は様々だ(図1-3)。機器の設置場所や性能、数、ゲートウエイとなる機器との距離など、様々な形態が考えられる。IoT時代になっても同様で、つながり方はケースバイケースになるだろう。

図1-3●IoTで使われる主な通信方式
図1-3●IoTで使われる主な通信方式
LPWAはIoTのために開発された。従来の通信方式もIoT向けに強化されている。
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 だが、IoT機器の爆発的な増大に対応するには、従来の通信技術だけでは不十分だ。そこで、それぞれの通信方式において、IoT向けの新サービスや新規格が続々登場している。

 例えばLTE/3Gは、高品質で長距離かつ高速の通信が可能で、遠距離から大量のデータを送る用途に適している。だがコストが高い。そこでクラウドを活用し、低コストと高可用性を実現する新サービスが登場した。

 無線LANも高速通信が魅力だ。家庭や企業では、無線LANアクセスポイントが既に設置されているケースが多いので、導入のしやすさも長所だ。だが、到達距離が短く、屋外での利用は難しい。そこで、通信速度を落とす代わりに到達距離を長くしたIoT向けの新しい規格が策定されている。

 近距離の通信にはBluetoothが適している。ほかの通信方式に比べれば低コストで省電力だが、パソコンと周辺機器をつなぐなど、用途が限定されていた。それが、より省電力のBLEが登場したことで、ビーコンやタグなど、用途が広がった。また、新しい規格Bluetooth 4.2ではIPv6通信に対応。Bluetoothに対応したIoT機器が、インターネットに直接接続できるようになる。

 以上は、以前から使われている通信方式を改良した新サービスや新規格である。これらに加えて、IoT向け通信方式のカテゴリーとして「LPWA」が新たに開発された。従来の通信方式であるLTE/3G、無線LAN、Bluetoothではカバーできない「長距離」「低コスト」「省電力」を実現できる(図1-4)。センサーなどのIoT機器を、広範囲に多数設置する用途に適している。その代わり通信速度は低く、100ビット/秒から50kビット/秒程度だ。

図1-4●無線通信方式の特徴
図1-4●無線通信方式の特徴
IoTで使われる無線通信方式の消費電力と到達距離(エリア)。到達距離が長いにもかかわらず消費電力が小さいLPWAが注目されている。ただしLPWAでは、通信速度が100ビット/秒~50kビット/秒と非常に低速。
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 次以降では、これらの通信方式をひも解いていこう。加えて、IoTを支えるクラウドサービスや、IoT時代のセキュリティも解説する。

▼IoT
Internet of Thingsの略。
▼LTE
Long Term Evolutionの略。第3世代移動通信システムの発展系で、3.9Gと呼ばれていた。現在では一般にLTEおよびその後継であるLTE Advancedを総称して「4G」(第4世代移動通信システム)と呼んでいる。
▼3G
3rd Generationの略。第3世代移動通信システムのこと。NTTドコモおよびソフトバンク系の網では「W-CDMA」、auの網では「CDMA2000」という規格が導入された。
▼BLE
Bluetooth Low Energyの略。
▼ビーコン
位置特定などのために、光や無線信号を定期的に発信する機器のこと。発信される光や無線信号を指す場合もある。
▼タグ
小型のビーコン。キーホルダーや財布などの携行品に取り付けることが多い。
▼LPWA
Low Power Wide Areaの略。