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 米Scalityは、分散KVS(キーバリューストア)技術を利用したオブジェクトストレージ構築ソフト「Scality RING」を開発しているベンダーである。元々はメールサーバーのメール格納用に開発したソフトであり、一般的なオブジェクトストレージソフトと比べて性能や可用性に注力しているという。2014年10月29日には日本支社を開設する。これに合わせて日経コンピュータは、CEOのJerome Lecat氏に、同社ソフトの特徴や日本支社設立の狙いを聞いた。

(聞き手は日川 佳三=日経コンピュータ


直近のニュースは。

写真●米ScalityのCEO、Jerome Lecat(ジェローム・ルキャット)氏
写真●米ScalityのCEO、Jerome Lecat(ジェローム・ルキャット)氏
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 大きく二つある。10月29日に東京(日本)に支社を設立する。サンフランシスコ(米国)、ワシントンD.C.(米国)、パリ(フランス)に次ぐ4番めのオフィスだ。日本支社は社員3人で開始する。今後増員する。

 一般に、シリコンバレーの企業の多くは日本市場に参入するが、その半分は失敗して撤退してしまう。米Scalityはこれらの企業とは反対のアプローチをとる。2009年に会社を設立した当初から日本に進出し、製品を投入してきた。

 2014年時点で、グローバルの売上の15%は、日本市場から生まれている。新規に日本市場に参入するのではなく、すでに日本のユーザーを獲得した状態で日本支社を立ち上げた。

 もう一つのニュースは、2週間前のことだ。米Hewlett-Packard(米HP)との間で、グローバルでの再販契約を交わした。元々米HPとは協力関係にあり、すでに米HPを介して10社の顧客に50ペタバイトのストレージを納品している。今回、この協力関係を次の段階に進める。米HPのPCサーバーに米Scalityのソフトをインストールしたストレージを、米HPが販売する。

今後のストレージ市場の姿は。

 15年後には、ITの姿が変わっている。中小企業が利用するストレージは、すべてクラウドサービスになる。中小企業が自社でストレージを購入することはなくなる。

 大企業やサービスプロバイダーはストレージを自社で購入するが、その展開のやり方は、米Googleや米Amazon Web Servicesといったクラウドサービスベンダーと同じになる。

 ソフトウエアベースのストレージも躍進する。ストレージの市場規模は1000億ドルだが、このうち50億ドルをソフトウエアベースのストレージが占めるようになる。

米Scalityの特徴は。

 米Scalityは、ストレージソフト「Scality RING」を開発するソフトウエア企業だ。Scality RINGは、汎用のPCサーバーでクラスターを組み、ハッシュリング方式でデータを分散格納する。ノード数を増やすスケールアウトによって、ストレージ容量を容易に拡張できる。データのコピーをノードに分散保存することで可用性を確保している。

 一般的なオブジェクトストレージと比べて、適用用途が広い。他社のオブジェクトストレージソフトは、せいぜい文書のアーカイブ用途で使えるに過ぎないが、Scality RINGならデータセンターのストレージのワークロード全体の80%をカバーできる。

 他社のソフトはPythonスクリプトで開発されているものが多く、I/O性能が低い。このため、VoD(ビデオオンデマンド)のような用途には適さない。アクセス方法も、HTTPベースのオブジェクトアクセスに限られており、NASとしてアクセスすることはできない。

 一方、Scality RINGは、元々はメールサーバーのメール格納用に開発を始めた経緯があり、C言語で開発しており、性能が高い。さらに、リングアーキテクチャーのままで、オブジェクトアクセス(HTTPベース)だけでなく、同一コンテンツに対してファイルアクセス(NFS/SMB)もできる。

日本市場に注力する理由は。

 大きく二つある。一つは、日本の顧客は品質への要求が高く、ここから学ぶことが多いこと。もう一つは、市場のポテンシャルが高いことだ。

 ストレージ市場として、日本のポテンシャルは大きい。米Gartnerのデータによると、2018年時点で、日本における100ラック以上の大型データセンターの件数は330件で、1件当たりのストレージ投資額の平均は約5億7000万ドル。この数値は、他国と比べて大きい。