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ミリ波の利用が検討されている。ただこれまで何度も検討されながら実用化には至らなかった。

写真:行友 重治
写真:行友 重治

 最大速度(ピークレート)を高めるためには、帯域を増やす必要がある。ただし5Gの10Gビット/秒超という伝送速度の実現は、6GHz以下では限界に達した。一方、例えばミリ波を使う高速無線LAN規格のIEEE 802.11adでは帯域として8GHzが確保されている。これだけの帯域を6GHz以下で確保することは現実として不可能。もうミリ波しかない。それにセルが小さくなってきたから、「ミリ波は飛ばない」というデメリットは徐々に緩和されてきた。

これまで限られた用途でしか使われていなかったビームフォーミングも5Gで実用化されそうか。

 10Gビット/秒という現在の10倍のピークレートを達成しようとすると、単純には受信電力を10倍にする必要がある。ただし送信電力の向上は、特に端末側ではもう難しい。効率的に搬送するしかなく、空間的に無駄に送っていたものを絞るしかない。するとビームフォーミングしか残らない。

話は変わるがモバイルエッジコンピューティングに対する期待の声が大きくなっている。

 遅延の範囲を示せないと、モバイルエッジコンピューティングは商用化できないと思っている。例えばユーザーから「遅延がこれくらいのシステムを作りたい」という要求があったとき、機器を置く場所をアドバイスするようなサービスが必要になる。

 こうしたサービスを提供するのは、ベンダーがふさわしいと考えている。サービスはベンダーから一体的にユーザーに提供する。通信事業者はその後ろに控える格好だ。様々な機能やサイズのネットワークを構築するメカニズムが必要になる。それはベンダーが得意とするところではないだろうか。

信頼性についての取り組みはどうなっている。

 よく「無線通信は誤りがある」と言われる。それは事実。それでも例えば金融機関はちゃんと稼働している。なぜなら再送など信頼性を高める仕組みを加えているから。

 ただし自律的に判断する必要はある。例えばコネクテッドカーと言っても、すべての自動車がつながるわけではない。どうしても自律的に動くものが残るので、それを検出する必要がある。だから分散化が進む。

日本では総務省をはじめ5Gに対するモチベーションが極めて高い。ただ、いざ商用化となった段階で、日本勢は巻き返すことはできるだろうか。

 5Gも4Gベースで動いている。知財も含めて既得権者が強いコアネットワークの部分は難しいだろう。ただし無線アクセスのようなサブネットは違う。その機能を多様化して提供していくことで、分野によっては挽回できる可能性がある。