業界の主要プレーヤーが集まり、オープンソースのSDN(Software-Defined Networking)コントローラーなどを作成するプロジェクト「OpenDaylight」。2014年2月の初版に続き、同9月には続くバージョンである「Helium」を早くもリリースした。エグゼクティブディレクターのニーラ・ジャック氏に最新の状況を聞いた。
OpenDaylightの最初のバージョンである「Hydrogen」に続き、早くも2番目のバージョン「Helium」をリリースした。進化が早い印象だ。

最初のバージョンのHydrogenと今回のHeliumは、位置付けが大きく異なる。
Hydrogenは、とにかく何かアウトプットを出すことが目的だった。業界のキーとなるプレーヤーを一つのテーブルに座らせ、共通のSDNソフトウエアのリリースが可能ということを業界に知らしめる必要があった。Hydrogenはその役割を十分果たし、この取り組みが実現可能ということを示した。
それに対して今回のHeliumは、OpenDaylightプロジェクトに参加するメンバーがソースコードをビルドし、実際に製品としてリリースできるソフトウエアを作ることを目的とした。商用化を前提としたリリースである点が異なる。
OpenDaylightプロジェクトが目指すゴールについて聞きたい。
我々にとってのゴールとは、ネットワーク業界に存在する“断片化”に打ち勝ち、SDNの普及を促進することだ。
例えば現在は、あるベンダーのネットワーク機器を利用すると、他のベンダーのオプションは利用できない。このようなベンダーロックインが存在することが、SDNの普及を阻む要因と言える。
OpenDaylightプロジェクトは、このようなベンダーロックインによる“断片化”を防ぐため、共通のプラットフォームをコードベースで作ることを目的としている。
共通プラットフォームが普及すれば、アジャイルでプログラマブルな環境をネットワークの分野で作れる。例えば新興のネットワークベンダーが新たにビジネスに参入しようとした場合、レイヤーの下から上までの機能をすべて自分たちで作る必要がなくなる。市場に素早く参入できるようになるだろう。