言葉としては定着した感のある「IoT(Internet of Things)」。取り組みも研究開発ベースからビジネスベースへ拡大しつつある。ユビキタスやM2M(Machine to Machine)の時代から数々のプロジェクトに携わる森川教授に、IoTへの期待や、今後の適用分野などについて聞いた。
IoT(Internet of Things)を戦略テーマとして掲げる企業が増えている。どのように見ているか。

IoTは昨年(2015 年)、大きくブレークした。個人的にうれしかったのは、経営層の意識が変わってきたこと。「うちでもIoTを適用できるところはないのか」という意識になりつつあるのは、とてもいい傾向だと思っている。
これは、ICTの位置づけがコスト削減ツールから価値創造ツールへと変わったことを意味する。IoTをきっかけに、日本でもようやくICT がポジティブに、アグレッシブに捉えられるようなった。
以前に盛り上がったユビキタスやM2M(Machine to Machine)と、今のIoTは何が違うのか。
それらを特に区別していない。技術も狙っている世界も一緒だからだ。
ただしユビキタスやM2Mがもてはやされた頃とは、利用に向けた環境が違う。センサー、無線通信、クラウドの3つがこなれて、誰でも使えるように手ごろになってきた。仮に10年前に同じことをやろうとすると、かなりマニアックにならざるを得なかった。