誰もが当たり前のように使っている、グーグルなどの検索エンジン。商品、サービスを提供する事業者側から見れば、自社のページがキーワード検索結果で上位に載ることは極めて重要だ。上位と下位ではクリック率に極めて大きな違いが出る。
検索エンジンのアルゴリズムを分析して、自社のサイトをより上位に表示するためにウェブサイトを最適化するのがSEO(検索エンジン最適化)だ。日本では、2000年代前半からウェブサイトの担当者が取り組みを進めていた。
SEOは、グーグルの検索アルゴリズム変更へのキャッチアップでもある。グーグルがアルゴリズムを変更したことで、検索順位が上位から100位などに急落することも珍しくない。
アイレップの渡辺隆広取締役は、経営者やマネジメント層もSEOを考えていかなければいけない時代になったと話す。今回は渡辺氏に、SEOの最新事情と、企業が今後取り組むべきことについて話を聞いた。
まず、SEOが企業の日々のビジネスにどんな影響を与えているのかについて教えてください。最近では、ソーシャルメディアが普及したことで、「SEOよりソーシャル対策だ」と言う人もいます。実際はどうなのでしょうか。

渡辺:一般的な企業ならどこもそうですが、ユーザーがどこから自社のサイト、メディアにやって来ているかを調べると、だいたいは検索エンジンです。
近年、特に2010年ぐらいからソーシャルメディア、いわゆるツイッターやフェイスブック、日本であればLINEとかミクシィなどが出てきた中で、ソーシャルからのトラフィックがだいぶ増えてきました。そんな流れを受けて、「ソーシャルが増えてきたから、検索はもう時代が終わったのか」という話になったりしますけれども、実はそんなことはありません。
確かにソーシャルからの流入は増えていますが、やはり検索からの流入が多くを占めているのです。ソーシャルからやって来る人と、検索からやって来る人は根本的に違います。例えば、来週、福岡出張があるので、ホテルを予約しなければいけないというときに、ツイッターで宿泊情報が流れてくるのを待ってから予約する人はいないですよね。その瞬間、自分で検索してアクセスするので、自分が欲しい情報を求める最も早い手段は、相変わらず検索です。
もちろんソーシャルを使うユーザーはいますし、その人たちの新しい情報の消費行動があるので、そこはそこで見なければいけません。ただ、SEOとどっちが重要かという話ではなく、情報取得における役割の違いにすぎません。検索もソーシャルも、どちらも重要になっている時代なわけです。