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2014年3月期決算で、23年ぶりに過去最高益を更新した日立製作所。「完全復活」と評されるものの、利益率では米GEなどに引けを取る。東原社長は、短期にキャッシュを生み出す力を高める事業の強化を宣言。社員のマインドセットを変えるための経営システム改革にも乗り出す。

(聞き手は吉田 琢也=日経コンピュータ 編集長)

4月に社長に就任して約5カ月、当面の課題は何でしょうか。

東原 敏昭(ひがしはら としあき)氏<br>1977年、日立製作所入社。電力・電機グループの要職を経て、2006年に情報・通信グループCOO、07年に執行役常務 電力グループ COO、08年に日立パワーヨーロッパのプレジデントと、様々な分野で経験を重ねる。14年4月より現職。新人時代、指導員の中西宏明会長(当時技師)から「仕事のイロハを教えてもらった」。1955年生まれの59歳。(写真:山田 愼二)
東原 敏昭(ひがしはら としあき)氏
1977年、日立製作所入社。電力・電機グループの要職を経て、2006年に情報・通信グループCOO、07年に執行役常務 電力グループ COO、08年に日立パワーヨーロッパのプレジデントと、様々な分野で経験を重ねる。14年4月より現職。新人時代、指導員の中西宏明会長(当時技師)から「仕事のイロハを教えてもらった」。1955年生まれの59歳。(写真:山田 愼二)

 我々は「2015中期経営計画」で売上高10兆円、営業利益率7%超という目標を掲げています。直近の2014年3月期決算では過去最高益を達成し、利益率は5.5%まで伸びました。

 しかし、海外の投資家は現状の数字には全く満足していません。2桁の利益率を出すため、キャッシュ経営にもっと重点を置くべきだ、と強く言われています。当社への期待がより高いところにあると痛感しています。

日立は今後何に注力するのか、改めて教えてください。

 これまで通り、社会イノベーション事業を推進していきます。そのためには、社会インフラとITとの組み合わせにもっと注力しなければならない。

 社会イノベーション事業の良い例として、英国で受注したIEP(都市間高速鉄道計画)があります。日立が新たな車両を納入すると同時に、27年半という長期にわたってオペレーションやメンテナンスを請け負う契約を結びました。これにより、車両や信号設備の老朽化や電車の遅延といった社会的課題を解決したり、ITを駆使してオペレーティングコストを低減させたりしていきます。