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ハード専有でも安くできる理由

 通常のIaaSは、ユーザーにハードを割り当てず、仮想サーバーだけを貸し出す共有型が一般的である。あえて専有型を選んだのは、ERPが要求するハードウエアの処理性能を確保するためである(図2)。

図2●専有型と共有型のクラウドサービスの特徴
図2●専有型と共有型のクラウドサービスの特徴
インターネットイニシアティブ(IIJ)の例を示した。今回採用された専有型サービスは、ハードウエアのカスタマイズにも対応できる代わりに、特定のハードウエア資源を継続的に借りる点が特徴である。
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 SAPのERPは「SAPS値」と呼ぶベンチマークテストを定義して、インフラ構築時のテストやハードウエアの認定に利用している。サーバーの性能だけでなくストレージのIOPS(1秒当たりのI/O操作処理数)やネットワークの遅延もボトルネックになり得るので、実物を使ってハードウエアを構成しないと十分なSAPS値を確保しにくい。主にCPUの数やメモリー容量、ストレージ容量だけを指定する共有型クラウドは、十分なSAPS値を達成できるサイジングが難しいという。

 実際に、IIJは専有型で利用できるストレージ製品とそのIOPS性能を示した。「3万超のIOPSを確保し、1仮想サーバーでは数千~数万SAPS値まで性能を出せる」など実際の構成で性能を確認したうえで、タマホームにインフラの構成を提案した。ストレージは米EMCの製品を選んだという。

 こうした利点の一方で、専有型はハードウエアを所有する形態に近く料金が高くなりやすい。しかし今回の運用形態だと、共有型と同等に近い料金で利用できることが判明した。その理由は、第1にタマホームの業務システム群が人事給与なども含めて比較的安定した処理能力を必要としたこと。第2に、小規模の業務システムはサーバーを細かく分割することで、共有型よりも安く運用できることである。

 「サーバーを細かく分割」できるのは、共有型と専有型の仕組みの違いにある。共有型はサーバーを1台(1コア)単位で借りるのに対して、専有型のIIJのVMシリーズはユーザーが自らVMwareの管理画面を運用でき、1コアをさらに細切れのサーバーにして利用できる。細切れにしたサーバーにそれぞれ小規模のシステムをインストールすることで、サーバーの集約率を大いに高められるわけだ。