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   1983年4月野村総合研究所入社。SEやプロジェクトマネジャーとして、野村証券向けシステムの構築などに携わる。1999年にCSK(現SCSK)、2004年みずほ証券に入社。2011年楽天証券に転じ、情報システム副部長、2012年執行役員情報システム本部長を歴任。2014年3月から現職。(写真:新関 雅士)
1983年4月野村総合研究所入社。SEやプロジェクトマネジャーとして、野村証券向けシステムの構築などに携わる。1999年にCSK(現SCSK)、2004年みずほ証券に入社。2011年楽天証券に転じ、情報システム副部長、2012年執行役員情報システム本部長を歴任。2014年3月から現職。(写真:新関 雅士)

 「開発案件をたくさんやろう。世界一の案件数をこなそう」と日頃からIT部員にハッパを掛けている。ネット証券の世界では商品や手数料で差異化するのが難しくなっており、顧客の利便性を高められるようなシステム開発をなるべく多く手掛けることが当社の競争力につながるからだ。

 もちろん、ただ件数をこなせばいいわけではない。できるだけ安価かつ高品質なシステムを作るよう現場に指示している。ここで大事になるのが、要件を定義するスキルだ。我々IT部門の要件定義力は、強化すべき余地がまだある。近道はなく、研修などで地道に学んでもらうことが大切と考え、教育投資をしている。

 2014年から、当社向けにカスタマイズした社外の研修メニューをIT部員たちに受講させている。要件定義やプロジェクトマネジメントなどのスキルを磨かせるのが狙いだ。座学を通じて、要件定義力やプロジェクトマネジメント力だけでなく、部員のコミュニケーションも良好になると見ている。

 体系的に物事を学べば、仕事で使う言葉の重要性を意識するようになり、議論のすり合わせが円滑に進むはずだ。私が当社に来た頃は各部員が自己流で用語を使うこともあったため、要件の細部を詰め切れなかったり、議論がかみ合わなかったりしていた。

 CIO(最高情報責任者)に就任して3年がたつ。IT部門の強化を担うCIOは、「部下ができることは基本的に全部できなければならない」というのが持論だ。開発スキルのないリーダーがシステム部門の責任者を務めるのは間違いだと思う。私は長年、SEやプロジェクトマネジャーとして開発経験を踏んできた。

 ただし、ITスキルが高いだけでCIOは務まるものではない。システムのあり方を長期的に考え、最適化を図ることもCIOの役目だ。例えば、システムコストを最適化するために、いかなる運用形態がいいのかなどを考えるということ。昨年から検討しているのが、同業他社とのシステム共同化だ。

 証券業界では、ITベンダーが構築した共同利用型システムを使うところは多いが、コスト削減にも限界がある。私が目指しているのは、証券会社同士が直接手を組んで、共同利用型の仕組みを作ることだ。

 純粋なユーザー企業同士がIT資源を共有しようという発想は、自分にしかできないことだと考えている。何とか実現したい。(談)