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 今後3年間のうちに、IoT(Internet of Things)が、自社のビジネスの変化や新たな収益の創出、コスト削減などの効果をもたらすと考える企業は4割に上る。期間を今後5年以上に延ばせば、そう考える企業の割合は6割に達する。一方で、IoTの推進に対して、ビジネス面/技術面で明確な推進体制を整えている企業は少ない──。

 2014年10月に実施した調査で、こんな事実が明らかになった。調査対象は463人で、いずれもITおよびビジネスのリーダー的な役割を果たしており、自社のIoT戦略に詳しい人材だ。

 この結果から分かるのは、IoTが未成熟な段階にあることだ。多くの組織が、取り組みを始めたばかりの状況にある。IoTを自社の生産活動に活用できている企業は、ごく少数にとどまっている。

 ただ、通信や情報処理にかかるコストは下がり続けている。通信機能を持つセンサーを付けても、製品のコストはほんの数十ドルしか上がらない。もはや、価格はIoT普及を妨げる要因にはならない。

 つまり、IoTで自社製品の価値を高めることはそれほど難しくない。むしろ大変なのは、IoTを活用した製品や、IoTによって生まれる新たなエコシステムがビジネスにもたらす機会を正しく理解することである。

 企業がIoT活用の準備ができているかどうかは、技術とビジネスの両面でIoTを推進する体制を整えているかどうかで分かる。

IoT推進体制があるのは4分の1

 今回の調査で、IoTを推進する強固な体制ができていると答えた回答者は4分の1に満たなかった。残りは、企業内の一組織、または複数の異なる組織が別々にIoTを担当している。

 IoTに投資しようとしている企業は、その可能性を経営陣や社員にきちんと理解させる必要がある。IoT推進責任者は一人である必要はないが、複数いる場合はその全員が、リーダーシップやビジョンを持つことが重要だ。

 今後3年間で、より多くの企業がIoTの推進体制を確立するだろう。そしてこの分野で主導権を握るには、IoTに関する何らかの中核拠点が必要だと考えるようになる。

 調査の回答者のうち、IoTが社会に大きな変化をもたらすような影響を持ちうると考える人たちの多くは、IoTの推進体制がない企業で働いている。IoTの影響力の大きさを認識している企業の従業員であっても、「何らかの推進体制を適切に整えている」と答えた回答者は35%と、平均より少し高い程度だった。

 調査で目立ったのは、「会社の上層部がIoTの可能性を認識していない」と感じている回答者が多かったことだ。ただし、IoTに対する取り組み方は業界によって大きく異なる。例えば行政機関や教育、銀行、保険などでは、取締役会のIoTに対する意識が特に低い。一方で、通信やサービスといった業界の経営層の意識は平均を上回る。

 IoTのような新しい分野には、当然ながら、リスクや困難がつきまとう。中でも多くの人が懸念するのは、セキュリティやプライバシーである。実体のないものを扱っている業界ほど、実体のあるものを扱っている業界よりも、セキュリティやプライバシーへの関心が高い。実体のないものを扱っている業界の人は、銀行のように高いセキュリティが求められる環境で仕事をしている人が多いからだ。

 そのほかの主な阻害要因として、必要な人材やスキルの確保の難しさを挙げた回答者も多かった。こう答える傾向は、高度なスキルを持つ人材をかなり早期に確保する必要があると考えた回答者ほど強かった。IoTが影響力の大きな技術であるがゆえだ。

ガートナー
ニック・ジョーンズ VP兼最上級アナリスト
スティーブ・クレインハンズ リサーチVP
池田武史 リサーチ ディレクター