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図●IT予算額増減の経年変化(2014~2016年度予想)
図●IT予算額増減の経年変化(2014~2016年度予想)
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 調査会社のアイ・ティ・アールは2015年10月6日、国内企業のIT投資動向に関する調査結果を発表した()。2015年度(2015年4月~2016年3月)のIT予算について、増額(20%以上増加と20%未満の増加との合計)と回答した企業の割合は21.3%で、前年比で1.8ポイント下がった。

 一方で減額(20%以上減少と20%未満の減少の合計)と回答した企業の割合が8.8%と、調査開始以降初めて10%を下回った。そのため同社は、全体としてはプラス水準を維持したと分析。増額したとする企業は減ったものの、総じて安定したIT予算を確保できているという。なお、「横ばい」とする企業は、過去15年で最高の69.8%に達した。

 同社は2016年度(2016年4月~2017年3月)に向けた見通しについても発表。それによると、増額、減額ともに2015年度とほぼ同等の水準であり、高成長とはいえないものの、引き続き安定した状況を維持すると分析した。

 同社では、IT予算を振り分けている分野として上昇傾向にあるのが、「情報セキュリティ対策」、「災害対策」、「内部統制」といったリスク対策費用と指摘。IT予算額に占めるリスク対策費用の割合について、情報セキュリティ対策費用が15.3%、災害対策費用が9.6%、IT内部統制向け費用が11.2%と、いずれも直近5年で最大の値となったという。背景として、大企業や官公庁で相次いだセキュリティ被害やガバナンスに関わる不祥事が影響していると指摘した。

 企業が重視しているIT動向は「IT基盤の統合・再構築」が6年連続で最上位だった。2位も前年と同じで「ビジネスプロセスの可視化・最適化」だった。今回の調査では「マイナンバー制度への対応」を加えた。その結果、重要度で3位となり、IT関係者にとって極めて重大な関心事になっていることが改めて浮き彫りになった。

 なお、同社は2013年から、「全IT支出のうちIT部門が決定権をもつ割合」についても調査している。それによる今回の調査では、前年調査を5ポイント下回る42.7%となった。

 今回の調査結果を受けて、同社では、国内企業のIT予算は比較的安定して確保できている状況にあると分析。ただし、その中身は定常費用の負担が重く、かつリスク対策費用の割合も拡大するなど、「守り」を重視せざるを得ない実情があるという。マイナンバー制度対応に代表される共通課題に取り組む一方で、限りあるリソースを活用した成長に向けた差別化戦略をいかに描くかが、今後の企業戦略において重要になると指摘した。

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