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 欧州連合(EU)のプライバシー保護当局は現地時間2014年11月26日、「忘れられる権利(right to be forgotten)」の適用範囲を拡大する指針の策定で合意した。米Googleは米国向け検索サイトでも忘れられる権利に対応するよう迫られる可能性があると、複数の米メディア(BloombergNew York TimesWall Street Journalなど)が報じている。

 Googleは、スペインの男性が同社を相手取って起こした訴訟で、今年5月にEUの欧州司法裁判所(ECJ)から、「検索エンジンは、個人情報を含むWebページへのリンクを検索結果から削除する義務がある」とする判決を受けた(関連記事:Googleは個人情報へのリンクを削除する責任あり、欧州司法裁の判決)。忘れられる権利を支持する同判決に従い、Googleは削除依頼の受付を開始し、検索結果ページからリンクを削除する作業を進めた。

 Googleは削除したリンクに関して、リンク先のニュース媒体などに通知したが、削除の依頼主や理由について一切説明がなく、削除判断の基準が不明であることに批判が集まった(関連記事:Google、「忘れられる権利」を話し合う公開討論会を欧州7都市で開催)。また、リンク削除がEU向けの検索エンジンに限られているため、EU外の例えば米国向け「Google.com」などではこれまで通りリンクは検索結果に表示されることも疑問視されていた。

 今回、加盟28カ国のプライバシー保護当局を代表するEU作業部会が策定した指針は、忘れられる権利を「.com」も含めすべてのサイトに適用することを求める内容になっている。同指針は法的拘束力はないが、EU作業部会責任者のIsabelle Falque-Pierrotin氏によれば、各国当局はこれをもとにGoogleに圧力をかけ、法的手続きを進めることが可能という。

 また同指針は、Googleが日常的にリンク削除をニュース配信サイトに通知していることについても非難している。削除を報告することにより、忘れられていた過去がかえって注目を浴びることにもなる。Falque-Pierrotin氏は、「通知は必要な場合もあるかもしれないが、法的義務ではない」と述べている。

 同指針は今週中に正式に公開される予定。なお、Googleは5月の判決以降、削除依頼のあった50万2977リンクを査定し、その41.5%にあたる20万8520リンクを削除した。忘れられる権利に基づくリンク削除に関しては、一方で、「表現の自由」への影響を懸念する声も高まっている。