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写真●講演する三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長(写真撮影:井上裕康)
写真●講演する三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長(写真撮影:井上裕康)
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 2015年3月17日、東京都内で開催中の「データサイエンティスト・ジャパン 2015」で、三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長が登壇。「データ活用により切り拓く新たな価値創造について」というテーマで、自社で取り組むデータ分析について講演した(写真)。

 講演では主に、商品を買い付けるバイヤーや、売り場での接客に責任を持つセールスマネージャーが日々の業務でデータを分析することで、週単位といった間隔で仮説検証を繰り返し行うPDCAサイクルの取り組みを説明した。

 同社の売り場では毎週、月曜日の朝、前週の販売実績などを分析し、結果を現場で共有。商品の切り替えや仕入れ数などを決めたあと、水曜日までに売り場を立ち上げる。木曜日に修正をかけて週末まで展開する流れを取っている。

 この一連の流れの中で、バイヤーやセールスマネージャーが実施している分析例が紹介された。具体的には、どの商品に人気が集まり売れているのかが分かる「ベストセラー分析」、“ジャケットやスカートが売れているもののドレスの売れ行きが芳しくない”といったことをつかめる「アイテム分析」、顧客の買い回り状況を把握する「顧客分析」などを実施しているという。

 これらの分析をきっかけに、現場担当者は事前に立てた仮説の検証を行い、次の一手を講じている。例えばベストセラー分析では、在庫と販売の数量に着目。「この商品は、ピークを見込む数週間前なのにもかかわらず、想定よりも在庫が少なめに推移。在庫を多めに持つようにしよう」といった判断を下して、行動に移しているという。

 大西社長はさらに、来店しない顧客から潜在的なニーズをSNSを使って探る施策も紹介。「今後も引き続き、SNSでお客様の本音を引き出していくことが重要だと考えている。またネット上の情報を専門知識で整理して伝えるキュレーターにも注目している」と、ネットの活用について触れた。

 このほかサービス業の生産性向上として、婦人靴売り場で行っている、ウエラブル端末を使った接客行動の分析に関する取り組みや、バイヤーを中心に実施している働き方変革についても触れた。

 大西社長は接客行動の分析について、「日本におけるサービス業の生産性は、欧米の6割にとどまると言われている。当社の生命線である販売力を高めるのに、科学的に分析して結果をスタッフのスキルアップや配置などに生かしていくことは欠かせない」と、見解を示した。

 同社は1990年代から会員カードと関連付けて、顧客の購買状況を管理するMDシステムを稼働させて、顧客と商品の両面でデータ分析をして現場でのPDCAサイクル活用してきた。

 大西社長は今後について、「百貨店の現場で定着しているPDCAサイクルを今後は、スーパーなどの他業態や、海外事業でも回せるようにしていきたい」と見通しを語った。