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図 「10年前のPLMは単純だった」と語る米Aras社CEOのPeter Schroer氏
図 「10年前のPLMは単純だった」と語る米Aras社CEOのPeter Schroer氏
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 PLM(製品ライフサイクル管理)ツール「Aras Innovator」を開発、販売する米Aras社CEOのPeter Schroer氏は2015年5月下旬、来日したのを機に日経テクノロジーオンライン記者と会見した。「これまでPLMツールは主に3D-CADデータを管理するために使われていた。しかしPLMツールというものは、本当はそんな単純な使い方ではなく、さまざまなデータの管理を通して顧客のビジネスを支えるものであるべき、と見直す機運が高まっている。新しい顧客の中には、ドイツのタバコのメーカーなど、CADが全く使っていない企業もある」などと語った。

 同氏によれば、PLMを見直す(Rethink PLM)の具体的な方向は2つ。1つは、機構設計用3D-CADのデータに限らず、部品表(BOM、Bill of Materilals)のデータ、電気系の設計データ、ソフトウェア開発に関するデータも合わせて管理すること。もう1つはIoT(Internet of Things)によって可能になる顧客のビジネスを支援すること。この両方を実現する上で、PLMシステムで扱うデータモデルは頻繁に変更可能なことが必要になる。

 同社はソフト情報の管理強化を目的に、2015年2月末に米IBM社と共同でのツール開発とマーケティングで提携した。「IBMは『Rational』『Rhrapsody』といった、さまざまなソフト開発ツールを持っている。これらのツールとAras Innovatorを連携する機能を今後強化していきたい」(同)という。

 さらに最近、IoTが普及するにつれて、製造業にとっては製品を顧客に出荷した後でもソフトで機能を強化できるようになることから、これを支援する仕組みが必要、と同氏は言う。「米Tesla Motors社のように、顧客で稼働中の製品のソフトを更新することで機能を強化する企業が今後増えるのではないか。これを実現するには、顧客先の製品がどのような状況にあるかを管理しておかなければならない。出荷後、顧客は修理や改修で部品やソフトを交換したり更新したりする。顧客での使用状況も、暑い地域か寒い地域か、稼働の頻度はどのくらいかなどが大きく異なることがある。これらの状況に応じて、どのような更新を顧客に勧めるのかを決め、かつその更新が既存の更新と干渉して不具合を起こすことのないものであることを保証しなければならない。こうした修理や改修、利用の状況といった情報を管理し、ビジネスに生かすことがPLMに求められている」(同氏)。

 「10年前のPLMは、PDM(製品ライフサイクル管理)の延長で3D-CADデータを管理するだけのシンプルなものだった。その当時のシステムが現在も多く稼働している」(同氏)。製品の機能の中で、ソフトで実現するものが増えるにつれて、ソフトと電気についてのデータも管理すべきと叫ばれるようになっているが「それらのシステムはもともと3D-CAD用のもので、データモデルを臨機応変に拡張することが難しい。Arasは発足当初、データモデルはXML(Extensible Markup Language)で記述することで柔軟に変更可能にするアーキテクチャを考案し、最初のバージョンから採用している」(同)。

 「多くのPLMツールでは、データベースを管理する層、業務プロセスを管理する層、ユーザーとのやり取りを処理するユーザー・インタフェース層の3層構造になっていることが多い。しかし、業務プロセス処理がデータベース内のデータモデルと不可分であるため、新たな業務プロセス処理を実現する際にはデータモデルの変更を伴い、大きな修正作業になる」(同)。Aras InnovatorではXMLで「メタデータモデル定義」を書けるようにしており、データベース内のデータモデルの変更はシステムに任せるようになっている。実質的に、ユーザーが新たな業務プロセス処理を実現することが容易になる。