PR
写真1●パネルディスカッション「これから10年、日本のソフトウエア業界はどう変わるか」の様子
写真1●パネルディスカッション「これから10年、日本のソフトウエア業界はどう変わるか」の様子
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●インフォテリアの平野洋一郎氏
写真2●インフォテリアの平野洋一郎氏
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●ナレッジスイートの稲葉雄一氏
写真3●ナレッジスイートの稲葉雄一氏
[画像のクリックで拡大表示]

 東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2015」で10月1日、「これから10年、日本のソフトウエア業界はどう変わるか」と題したパネルディスカッションが開かれた(写真1)。パネリストは、インフォテリアの平野洋一郎氏(代表取締役社長兼CEO、写真2)とナレッジスイートの稲葉雄一氏(代表取締役社長兼CEO、写真3)。モデレータは日経BPイノベーションICT研究所所長の桔梗原富夫が務めた。

 ディスカッションでは、まずホストコンピュータ時代からのソフトウエア業界の変遷を振り返り、次いでパッケージソフトとクラウドで展開するソフトとのビジネスモデルの違いを整理した。その上で主に二つのテーマを議論した。(1)ソフトウエア業界とSI業界の今後と、(2)国内ソフトウエア業界のグローバル化である。

 (1)のソフト業界とSI業界の今後については、クラウドの存在感が高まり、ソフトや基盤の提供スタイルに変革を迫られていることを踏まえてのテーマ。モデレータが「パッケージソフト開発会社やインテグレーターは、今後どのように取り組んでいけばよいのか」とパネリストの平野氏、稲葉氏に尋ねた。

 この問いに対しインフォテリアの平野氏は、毎月課金型のクラウドは、パッケージソフトを1本売るよりも資金回収が遅くなるため、パッケージソフト会社にとっては経営判断が難しいという事情に理解を示した。しかし「今、クラウドにアクセルを踏み込めないソフト会社は、ソフトの主流がMS-DOSベースからWindowsベースに移った時と同じようにズタズタになってしまう」と警鐘を鳴らした。

 さらに今後はクラウドに加えて、ソフトの稼働する「場所」に注目すべきと語った。特に平野氏が注目すべき場所として挙げたのが、スマートフォンやタブレットなどのスマートだ。「現状の企業情報システムでは、スマートデバイスはおもちゃ扱いされがちだが、軽視してはいけない」(平野氏)。PCもインターネットも当初はおもちゃ扱いされていたことを引き合いにしつつ、今後はデバイス向けのソフトにもっと力を入れるべきだと訴えた。

 一方、SaaS(Software as a Service)形式で営業支援ツール「Knowledge Suite」を展開するナレッジスイートの稲葉氏は、「いかに共存するかを考えるとよい」と話した。例えばAPIを用意し、様々なソフトウエア同士がネットを介して連携を図ることが大切という。

 (2)のグローバル化は、国内ソフトウエア業界にとって長年の課題といえる。実はインフォテリアの平野氏は、国産ソフトを世界に展開することを目指すソフトウエア開発会社の団体「MIJSコンソーシアム」の理事長。また稲葉氏は、同団体のマーケティング委員会のリーダーを務める。

 これを踏まえ、モデレータの桔梗原が「MIJSの発足から10年になるが、厳しい言い方をすると世界で大活躍する国産ソフトは誕生していない」と問題提起した。平野氏、稲葉氏とも率直に認め、英語への対応力や、企業向けソフトでは顧客から対面での説明が求められやすい点などを課題として挙げた。

 もっとも、MIJSもただ手をこまぬいているわけではないという。平野氏は、大リーグで活躍した野球選手の野茂英雄氏を引き合いに出し、「MIJSも野茂英雄を輩出しようというかけ声が挙がっている」と明かす。今後10年で見れば、「野茂氏に当たるソフトウエア会社どころかそれに続く会社が次々と現れ、MIJSという組織が不要になる」と平野氏は自信を見せた。

 最後に、今後10年を見据えた経営の舵取りの方向性について、平野氏と稲葉氏が自社のビジネスについてそれぞれ語った。平野氏は「クラウドベースで、デバイスで稼働するソフトに力を入れる。売り上げの過半は国外から稼ぐ」という方向性を示した。ナレッジスイートの稲葉氏は、パートナーとの協調姿勢を今後も重視していくとした。