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写真●日経エレクトロニクスの今井拓司編集長
写真●日経エレクトロニクスの今井拓司編集長
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 人工知能のレベルは年々向上している――。2015年9月30日から10月2日にかけて東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2015」で、日経エレクトロニクスの今井拓司編集長が「人工知能を支えるハードウエア技術の最前線」という題で講演した(写真)。

 当初の人工知能は、分野ごとのエキスパートから知識を引き出して、その思考内容を疑似的に実現していたが、ここ数年は人間の脳の構造に倣った「ディープラーニング」と呼ぶ考え方が主流になっている。

 ディープラーニングが特に優れているのは、対象を識別する能力だ。2012年にトロント大学のヒントン教授が画像認識のテストにディープラーニングを導入したところ、「それまで年1%前後しか向上しなかったエラー率が、1年で10%も改善した」(今井編集長)。音声認識でも同様の効果が得られたという。

 一方で、今井編集長は「現行の技術では、まだ実現できていないことがある」と指摘する。例えば、電話の自動応答などでディープラーニングを適用した音声認識技術を導入しても、誤り率の改善はわずかだという。

 人間の脳のように学習させるには、大規模な並列計算が必要になってくる。「例えば、人工知能に1年分の自動運転車1000台のデータを1日で学ばせるには、スーパーコンピューター『京』が10台必要になる」(今井編集長)。パソコンなどで主流のプロセッサーであるCPUは、一般に順次処理は得意だが、並列処理は苦手とされる。このため、近年は並列処理に強みがあるGPUを人工知能に取り入れる動きが進む。「米エヌビディアのGPUは、ソフトウエア環境が充実しており、多くの研究者が利用している」(今井編集長)。

 ただ、今後は別のアプローチも必要になるという。「ムーアの法則が失速しており、現行のCPUやGPUを改良しても、脳の消費電力より4桁ほど大きいともいわれる」(今井編集長)。今井編集長は人工知能を実現するための技術として、出荷後に設計や機能を変更できるFPGAと呼ぶチップのほか、実現の可能性は不透明としながらも脳神経の構造に近いチップを磁界結合技術で実現しようとする企業もあると紹介した。

■変更履歴
本文の一部を修正しました。 [2015/10/04 20:10]