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写真1●NTTデータ 代表取締役副社長執行役員の椎名雅典氏(撮影:中村 宏)
写真1●NTTデータ 代表取締役副社長執行役員の椎名雅典氏(撮影:中村 宏)
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写真2●講演には多くの聴衆が詰めかけた(撮影:中村 宏)
写真2●講演には多くの聴衆が詰めかけた(撮影:中村 宏)
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 2015年9月30日から10月2日まで東京ビッグサイトで開かれている「ITpro EXPO 2015」の最終日となる10月2日、「0から1を創造するIT戦略~Zero to One Strategy」と題し、NTTデータ 代表取締役副社長執行役員の椎名雅典氏が講演した(写真1、2)。椎名氏は講演の中で、まったく新しい商品やサービスを生み出すことの重要性が増していると述べた。

 椎名氏は講演の冒頭で、米ペイパルのピーター・ティール氏の著書「ZERO to ONE」がスタートアップ企業の経営者たちのバイブルになっていると紹介したうえで、「まったく新しい商品やサービスを生み出さなければならないのは、スタートアップ企業だけに限らない」と指摘。一般の企業においても、0から1を創造する力が求められているという見解を示した。

 新たな商品・サービスを生み出していかなければ、企業として存続できなくなる兆候も昨今顕著になっているという。「2000年代以降ヒット商品の半分が、2年未満のサイクルになっている」(椎名氏)。さらに、「ここ10数年ロングテール現象が指摘されてきたが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの登場で、より傾向が強まっている」と椎名氏は述べる。

 そんな中、椎名氏が注目するのは100年以上続く長寿企業だ。日本には創業100年以上の長寿企業が約2万6000社あるという。これらの企業が長年にわたってビジネスを継続できる理由を探ったアンケート調査では、6割以上の長寿企業が変革に積極的だと回答したという。「現状に甘んじないことが長寿企業となる大きな要因だ」と、椎名氏は語る。例えば和菓子で有名な虎屋は、「TORAYA CAFE(トラヤカフェ)」というカフェを新たに展開するなど挑戦を続けているという。

ユーザーセントリックとオープンがカギ

 椎名氏は、新たな商品・サービスを生み出すためのポイントとして、ユーザーセントリックとオープンを挙げる。

 ユーザーセントリックとは、生産者がユーザー起点でものごとを考えること。これを実現するのは簡単ではないが、ITの進化によってユーザーニーズにアプローチしやすくなっているという。SNSや生体情報などのデータが取得、分析しやすくなったからだ。「ソーシャルデータや生体データは、よりユーザーの正確な情報が手に入る」(椎名氏)。

 椎名氏は一例として、テレビCMを見た際に視聴者の脳の活動状況がどうなっているかを分析し、広告主の伝えたいメッセージが伝わっているかを計測するサービスを紹介。自社CMで活用してみたという。

 ユーザー自身が、新商品・サービスを作りやすい環境にもなっている。「3Dプリンターが劇的に安くなり、無償公開される3Dデータも増えてきた」(椎名氏)。「企業にとってはチャンスでもあり、うかうかしていられない時代でもある」と、椎名氏は語る。

 オープンについては、外部組織とのコラボレーションの重要性を強調した。「日本ではまだ自前主義が強い。研究開発の75%が自前とされている。組むべきスタートアップ企業に対して資金面や人材面で不安を感じる大手企業も少なくない」(椎名氏)。

 ただし椎名氏によると、こうした状況も変わりつつあるという。クラウドファンディング市場が拡大しており、スタートアップ企業が資金を獲得しやすくなっていることや、クラウドソーシングによって人事面での手当てもしやすくなっているからだ。

 NTTデータの子会社であるスペイン・エヴェリスは、世界中のスタートアップ企業情報を調査するサービスを展開しており、毎日約50万社の情報を更新している。「こうしたサービスも大手企業とスタートアップ企業とを結びつけるのに役立つはずだ」と、椎名氏は話す。

 長寿企業の中には社訓や社是を変えている企業は多くないという。一方で、主力事業の内容や商品・サービスを変えてきた企業が過半に上る。「企業には、ZERO to ONEの姿勢が欠かせない。それを実現するユーザーセントリックとオープンな企業活動がやりやすくなっているのは間違いない」と椎名氏は力を込める。椎名氏は最後に、「私たちも100年企業を目指しましょう」と聴講者に呼びかけ、講演を締めくくった。