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図●歩行者行動予測に基づく速度制御(上図:実験車、下図:予測制御情報)
図●歩行者行動予測に基づく速度制御(上図:実験車、下図:予測制御情報)
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 日立製作所、日立オートモティブシステムズ、クラリオンの3社は、一般道に向けた自動車の自動運転技術として、歩行者が障害物を避ける行動を予測することによって歩行者との衝突を防止する技術を開発し、技術の有効性を実験車にて確認したと発表した()。衝突を予測した場合は、速度を緩めて衝突を回避する。実験では、良好な乗り心地の基準である加速度(2.2メートル毎秒毎秒以下)と加速度変化(2.0メートル 毎秒毎秒毎秒以下)を達成した。

 歩行者の行動変化を予測し衝突を防止するために、二つの技術を開発した。(1)一つは、歩行者の行動を予測して自動車の速度を制御する技術である。(2)もう一つは、リアルタイムに自動車を制御するために計算処理を高速に実施するための高速演算技術である。

 (1)の行動変化予測に基づく速度制御技術は、歩行者などの移動体と、路上駐車などの障害物との位置関係から、ポテンシャル法によって移動体の将来行動を予測する。行動予測の結果、歩行者と自車の衝突が予測される場合は、急激な減速をせずに滑らかに減速する。安全性が保たれる場合は、減速せずに実用的な速度を維持する。

 ポテンシャル法とは、自律移動型ロボットの経路計算などに使われており、移動体に対して障害物からの斥力と移動先からの引力が発生していると仮定することでポテンシャル場を形成し、ポテンシャル場の勾配から移動体の運動を決定する経路計画方法である。今回は、歩行者が駐車車両などの障害物を避けて進路変更する行動変化をモデル化した。

 (2)の高速演算技術によって、速度や加速度を快適に保つための最適な速度パターンをリアルタイムに計画する。従来は、最適値の探索に高い演算負荷がかかるため、短時間での演算が困難だったという。

 開発した高速演算技術ではまず、従来であれば進行方向と道路幅を考慮して衝突確率を2次元マップで表現していたところを、あらかじめ自車の計画軌道を固定して道路幅の情報を省略した1次元マップに置き換え、メモリーへのアクセスを高速化した。さらに、複数の最適値探索演算の並列処理を組み合わせることで演算の高速化を図った。高速演算技術をFPGAの評価ボードで実機検証したところ、汎用的な組み込みプロセッサによるソフトウエア処理と比較して約200倍に高速化できることを確認したという。