「全世界のCIO(最高情報責任者)約3000人に調査した結果、デジタル先進企業の特徴が分かった。それはビジネスのすべてをプラットフォーム化していることだ」――。ガートナージャパンが都内で開催している「Gartner Symposium/ITxpo 2015」で、米ガートナーのデーブ・アロン バイスプレジデント 兼 ガートナーフェロー(写真)は2015年10月28日、「CIOアジェンダ2016」と題した講演でこう語った。
CIOアジェンダは、米ガートナーが全世界のCIOを対象に毎年実施している調査。今回は84カ国、2944人のCIOから回答を得た。
調査の結果、「ビジネスのプラットフォーム化」が重要であるとの結論にいたった。ここでの「プラットフォーム」とは、社内外のステークホルダーをつなぐ「場」のこと。よくビジネスモデルの説明で使われることが多い単語だ。例えば、インターネット上のショッピングモールなどはプラットフォームビジネスの典型例といえる。
ただし、アロン フェローは「ビジネスモデル」に加え「リーダーシップ」「タレント(人材)」「デリバリー(製品・サービスの提供)」「ITインフラストラクチャー」の合計五つの層において、プラットフォーム化を進めるべきだと主張する。「ビジネスモデルとITインフラストラクチャーのプラットフォーム化はこれまでも重要視されてきたことだが、その他の三つの観点は、新しい指摘だ」(アロン フェロー)。
例えば、リーダーシップ・プラットフォームでは、協業関係にある外部企業や顧客と形成する、ビジネス上のエコシステム(生態系)において、強い影響力を持つリーダーが必要だという。
今回の調査では、全世界の39%のCIOが自身のことをデジタル変革のリーダーであると認識しており、34%はイノベーションを起こすことが自分の役割だと考えていた。社内外のステークホルダーを巻き込み、強い影響力を発揮する変革リーダー。これが、今求められるCIO像といえる。