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 中国の配車サービスDidi Chuxing(滴滴出行)は、米Appleが同社に10億ドルを出資したことを現地時間2016年5月12日に明らかにした。この発表を受け複数の米メディアは、約30億ドルをかけた米Beats Electronics買収(関連記事)を除いて、小規模事業を静かに買収する方法をとってきたAppleとしては異例と報じている。

 Didi ChuxingはこれまでDidi Kuaidi(滴滴快的)の名称でサービスを行っていた。米配車サービス大手のUber Technologiesとの競争に多額の費用を注ぎ、現在、「中国の民間配車サービス市場におけるシェアは87%」と主張している。中国の約400都市に3億人近いユーザーがおり、1日あたりの乗車数は1100万回という。

 Didi Chuxingは中国Alibaba Group(阿里巴巴)と中国Tencent Holdings(騰訊控股)からも出資を受けているが、今回のAppleからの出資は「単独では過去最大額」としている。AppleのTim Cook最高経営責任者(CEO)は、「Didi Chuxingは、中国のiOS開発者コミュニティで起きている革新を例証するものだ」と述べている。

 米CNETの報道によると、Didi Chuxingの企業価値は約250億ドルと見積もられている。Cook氏は英Reutersの取材に対し、「今回の投資は多くの戦略的理由があり、中国市場の特定の分野について学ぶ機会を得ることなどが含まれる」と説明し、「長期的に強力なリターンがあると確信している」と述べた。

 Appleは、同社にとって世界第2位の市場である中国での事業強化に取り組んでいる。しかし最近、映画の販売/レンタル「iTunesムービー」と電子書籍アプリケーション「iBooks」が停止に追い込まれ、商標侵害訴訟で敗訴するなど厳しい状況が続いている。加えて、2013年に「Appleの保証制度は中国消費者を差別的に扱っている」と批判が高まった問題から、いまだに同社の信頼は回復しきれていないと、米Forbesは指摘している。

 Appleの2016会計年度第2四半期(2016年1~3月)の決算では、「iPhone」販売が前年から16%減少し、それまで急速に伸びていた中国での売上高は同26%落ち込んだ(関連記事)。

 Didi Chuxingへの巨額投資は、中国に好印象を与えるためと見る中国Marbridge Consultingの幹部の意見を、米New York Timesは報じている。

 また、Appleは自動運転車を開発中と報じられており(関連記事)、将来的にDidi Chuxingと共同で自動運転車テストを行うことも考えられる。あるいは、Didi Chuxingを通じて運転手や乗客に関する多くのデータを収集し、中国における「Apple Pay」の拡大に活かそうとしているかもしれない。

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