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写真1●多摩大学「ルール形成戦略研究所」創立記念セミナーに登壇した(左から)徳岡晃一郎副所長、寺島実郎学長、國分俊史所長
写真1●多摩大学「ルール形成戦略研究所」創立記念セミナーに登壇した(左から)徳岡晃一郎副所長、寺島実郎学長、國分俊史所長
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写真2●ルール形成戦略研究所と官庁・民間企業の連携イメージ(発表資料より)
写真2●ルール形成戦略研究所と官庁・民間企業の連携イメージ(発表資料より)
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 多摩大学は2016年6月29日、国際的・社会的ルール形成に関する戦略を専門的に扱う「ルール形成戦略研究所」(6月1日設立、以下新研究所)の創立記念セミナーを開催した(写真1)。

 寺島実郎学長は、「国際社会の課題を解決するにはルール作りが必要だが、日本は必ずしもうまくない。スポーツで日本の選手が活躍するとその後不利になるようにルールが変わることがよくある。こうした状況を打破するには、ルール形成のプロセスやノウハウを正しく理解することが重要だ」と述べた。

 新研究所の副所長に就任した徳岡晃一郎・多摩大学大学院教授は「日本型のイノベーションは小粒なものが多い。既存のルールの中で改善を積み重ねるのは得意だが、ルールを再定義するような大きなイノベーションは起こりにくい。米国のベンチャー企業は社会的課題をビジネスと結びつけて、ルールすら変えてしまおうとする。米ウーバーテクノロジーズ(Uber)などはその典型だ」と説明した。

 新研究所の重点テーマ領域は、「次世代エネルギーと気候変動対策」「IoTビジネスとサイバーセキュリティ」「安全保障経済政策」「人口増と長寿社会」「自由貿易協定・経済連携協定」の5つである。

IoT分野のルール形成に関与できず

 所長に就任した國分俊史デロイト トーマツ コンサルティング執行役員は、「これら5分野では急速に国際ルール形成が進んでおり、その結果次第では日本の競争力が失われてしまう。特に、IoT(インターネット・オブ・シングズ)の分野では、日本企業はデバイスやセンサーの開発に集中しすぎている。海外では相互接続の標準化や、サイバーセキュリティ担保のためのチップ搭載必須化といったルールの議論が盛んだが、日本はあまり関与できていない。いくら良いものができても、ルールが変わると日本は負けてしまう」と強調した。

 多摩大学の新研究所は、ルール形成戦略を専門とした日本で唯一のシンクタンクとして、研究会の開催や政策提言などを行う。今後、政治家や官庁・民間企業の実務者を客員研究員として受け入れ、産官学連携を進める(写真2)。さらに、2017年4月から大学院経営情報学研究科に「MBAルール形成戦略コース」の開設を目指す。

 國分所長は、デロイト トーマツ コンサルティングにおいて、ルール形成戦略を軸にしたプロジェクトを多く手掛けた実績を持つ。経済産業省の本省組織として2014年7月に新設された「ルール形成戦略室」の立ち上げも支援した。デロイト トーマツは客員教授を派遣すると共に、新研究所の運営事務局機能の一部を担う。