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写真●星野リゾート グループ情報システムの久本英司ユニットディレクター
写真●星野リゾート グループ情報システムの久本英司ユニットディレクター
(撮影:渡辺可緒理)
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 ICTの最新トレンドにフォーカスする総合展「ITpro EXPO 2016 in 札幌」(主催:日経BP社)が2016年6月30日、札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)で開幕した。初日10時からのキーノートスピーチでは星野リゾート グループ情報システムの久本英司ユニットディレクターが、同社のIT戦略について講演した(写真)。

 今でこそ国内外35カ所でホテルや旅館を運営する星野リゾートだが、久本氏が入社した2002年ごろはまだ運営施設も少なく、IT部門に求められたのは手作業で行っていた業務の機械化が主だった。機械化を進めるだけで改善成果が得られ、業務貢献についての自己評価も高かったという。その御、運営する物件数の増加とともにIT部門の負荷も増え、社内の組織変化が大きくなっていった。

 そうした環境変化の中、2009年にそれまで会社のシステム開発を一手に依頼していたシステム会社から、保守契約の打ち切りを告げられ窮地に陥った。このとき、ピンチをチャンスに変えようと考えたIT部門は、業務システムのインドでのオフショア開発に乗り出した。最終的に3年間かけて、国内の3分の1以下のコストで業務システムを作り上げたものの、工数が非常に多くなったことを差し引くと、トータルでのメリットはあまりなかったという。

 オフショア開発で工数が増えたのは、「計画通り進まない」「設計にまずいところが見つかる」「できあがった成果物の品質が低い」――といったことが大きな理由と久本氏は分析する。しかしこれはインドの開発会社の能力が低かったためではなく、IT部門側のスキル不足が原因だという。久本氏は「相手企業にどういうシステムを作るべきか要求する力や、どの程度の品質を維持するかコミットする力が不足していた」と振り返った。

 IT部門ではその後、事業にITが何を提供するかという部分を棚卸しして、戦略を練り直した。業務プロセスによって企業の提供価値が作られた過去は、その価値が10年、20年と変化しない前提でシステムが作られてきた。デジタルそのものが企業価値を生み出すようになった今は、ITは事業に対して間接的ではなく直接的に価値を提供する必要があるという認識で戦略を考えているという。

 久本氏はビジネスに対するITの価値として、「事業の足かせになっていない」「業務プロセスの進化を促進させる」「新たなビジネスチャンスを作る」といった点を挙げ、それを経営に対して証明できる仕組みを作っていくことが大事、と講演を締めくくった。