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写真●NTTデータ、代表取締役社長の岩本敏男氏
写真●NTTデータ、代表取締役社長の岩本敏男氏
(写真:井上裕康)
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 「これからの企業は、社会や顧客の小さな変化をとらえてスピーディに意思決定することが大切。そのためにはビッグデータとITパワーが役立つ」――。NTTデータで代表取締役社長を務める岩本敏男氏(写真)は2016年7月8日、IT Japan 2016で講演し、現代社会の姿と企業が取るべき戦略について解説した。

 岩本氏は冒頭で、「2045年」と書かれたスライドを映した。人工知能が人間の能力を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)の年である。「私は20年ほど前から、CPU/ストレージ/ネットワークの『Exponential Growth』(指数関数的な急激な成長)が社会の原動力だと言ってきた。レイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)氏の著書『The Singularity is Near: When Humans Transcend Biology』(シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき)にも、全く同じことが書かれている」(岩本氏)。

 実際に、人工知能(AI)の能力はITリソースの進化によって急速に高まってきている。最近では、将棋や囲碁で人間に勝利したことが話題になった。このほかにも、小説の執筆や作曲をAIが手掛けるようになってきている。

 別の例として岩本氏は、1882年に着工したサグラダファミリアを紹介した。着工当初は完成までに300年を要する計画だったが、IT技術によって2026年に完成することになった。3Dプリンターによる構造解析や、NC工作機械、観光客による資金によって可能になった。

スタートアップが社会を急速に変化させる

 ビジネスが破壊的なスピードで成長することは、配車サービスの「Uber」の名前をとってウーバライゼーション(Uberization)と呼ばれる。「スタートアップ企業が既存のビジネスに参入してきて、価値破壊を起こしている」(岩本氏)。これが社会を急激に変化させるという。

 ウーバライゼーションの例として岩本氏は、海外送金のコストを下げるサービスを紹介した。一般に、海外送金には、送る際の手数料、海外を超える時の為替手数料、受け取る際の手数料、などがかかる。ここで、双方向の取引をマッチングさせれば、海外送金部分が相殺されて不要になる。これによって海外送金を安くできる。このサービスを使った送金額は、既に月間15億ドルに達しているという。

 「スタートアップ企業は『バタフライエフェクト』を起こしている」と岩本氏は言う。ブラジルで1匹の蝶がはばたくとテキサスで竜巻が起こることを指した言葉であり、気象学者のシミュレーションにおいてわずかな初期値の違いが大きな違いを生むことを示している。

社会や顧客の小さな変化をとらえよ

 変化する社会で企業が取るべき戦略として岩本氏は、社会や顧客の変化をとらえてスピーディに意思決定していくことが大切と言う。このための手段として、ビッグデータとITの力が必要になる。